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2007年経済回顧
発信時間: 2007-12-29 | チャイナネット

マクロ経済(4)

第四に、マクロ経済の安定を脅かす資金の過剰な流動性という問題が出現した。

株式市場や不動産市場で発生した資産価格の急激な上昇、1~11月の貿易黒字が2381億3千万ドルに上り、増加率が52.2%に達したこと、外貨準備が9月現在で1兆4300億ドルに達したことなどが、資金の過剰な流動性が2007年の経済と切り離せないテーマの一つであることを物語る。

現在の中国経済は双子の黒字を代表とする「外部的バランスの喪失」や投資と消費の不合理な関係といった「内部的バランスの喪失」に直面しており、資金の過剰な流動性が07年のマクロ経済や金融情勢の基本的な特徴となっている。

こうした資金過剰の状況下で、金融リスクの出現を防ぐにはどうするかが、今年マクロ部門が関心を寄せる重点ポイントになった。このため通貨政策は「安定」から「適度な引き締め」へと移行し、年末の経済工作会議では引き続き「引き締め」がはかられた。今年は預金準備率の引き上げが10回、金利の調整が5回行われ、このことがマクロ部門の過剰な流動性縮小への決意を物語る。

資本市場の発展も重要視された。今年政府は株式市場の基本制度の構築、市場参入資金の導入などで相次ぎ政策を打ち出し、市場リスクを緩和し、市場は全体として安定的に発展した。不動産市場では、既存の調整政策の相次ぐ実施や政府方針に基づく措置の実施などに伴い、年末の市場には価格安定傾向が出現し、一部には価格低下の動きもみられた。不動産価格の調整が効果を現しつつあることを予感させる。

金融(1)

2007年、中国人民銀行(中央銀行)は巨大な人民元切り上げ圧力を引き受け、外貨借入資金によるリスクヘッジに過去最大の力を注いだ。預金・貸付金の金利を5回にわたって調整し、預金準備率を10回にわたり引き上げた。この1年に、過去10年間続いた緩やかな通貨政策が適度な引き締め政策へと変わり、中央経済作業会議の招集後は完全に引き締め政策へと移行した。米国の低所得者向け住宅ローン(サブプライムローン)の問題が深刻化し、米ドル資産の価値が下落し続け、これが急速に深まる中国の金融開放にとって厳しい挑戦となった。株式市場と不動産市場では資産価格が暴騰し、激しい変動ぶりが広く注目を集めた。

07年の金融改革の主戦場は、国有商業銀行の制度改革・上場から、金融市場の競争力向上というミクロ面に移行しつつあり、多層的な金融市場システムが農村でも都市でも基本的に形成された。金融機関の市場競争力が目立って向上し、うち銀行業は初めて業界全体で自己資本率の目標値を達成。自己資本率を達成した銀行は4年前はわずか8行だったが、今年は第3四半期(7~9月)末現在で136行に上った。国内金融機関の国際競争参入の歩みが加速し、海外市場での支店機関設立や株式を通じた合併・買収などにより、徐々に海外進出戦略が実現されつつある。

こうした複雑で変化に富む局面が出現した主要な原因として、改革開放実施から約30年が経過し、特にここ5年間は、国民経済の急速かつ安定した発展により相当規模の資産が蓄積されたこと、中国経済の世界における競争力が飛躍的に向上したことなどが挙げられる。こうしたことにより、金融分野では金融資源の合理的配置やプランに対する要求が高まり、また中国経済のより主体的かつ積極的な世界競争参入を金融サービスがどのように支援するかという新たな任務が提起された。

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