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中国の外貨準備高がG7を上回った背景
発信時間: 2008-06-17 | チャイナネット

多様な原因

4月末現在、中国の外貨準備は1兆7600億ドルに達した。中国社会科学院(社会科学アカデミー)世界経済・政治研究所の余永定所長は「この数字は、世界の主要先進7カ国(G7、米国・日本・英国・ドイツ・フランス・カナダ・イタリア)の合計を抜くものだ」と指摘する。

中国人民銀行(中央銀行)の周小川行長(総裁)は先月30日に「成長・発展委員会成長報告発表会」に出席した際、「中国の外貨準備の増加にはさまざまな原因がある。

貿易黒字と海外直接投資(FDI)だけに注目するのは包括的な見方でなく、外貨準備の増加、FDI、貿易黒字の間の差額だけをみて、外貨準備が並はずれて増加しているとみなすことも出来ない」と述べた。

中央銀行はさきに発表した「2008年第1四半期の通貨政策執行報告」の中で、外貨準備が急速に増加した主な原因として、▽国内経済の基本的な部分が全体として好調だったこと▽貿易黒字が増加したこと▽海外企業による対中直接投資が継続的に流入したこと――などを挙げた。また米国の低所得者向け(サブプライム)住宅ローンの焦げ付き問題が引き続き波紋を呼んでいることや国際金融市場が動揺していることなどから、中国が世界中の資金の避難所になっている可能性があり、これが外貨準備の増加につながったとの見方を示した。

全体としてみれば、経常項目で100%、資本項目で一部の両替の自由化という条件の下であれば、中国への外貨流入は合法的なルートによる資金流入なのであり、企業と個人が人民元上昇観測に基づき自己利益をはかって行った選択なのだといえる。

外貨準備の大幅増加について、中国国際金融有限公司(CICC)の哈継銘チーフアナリストは次のような見方を示す。中国の外貨準備はすべて米ドルというわけではなく、米ドル以外の外貨資産の価値が米ドルの下落に伴って上昇しており、約500億元増加したと推計される。外貨準備の増加は企業の海外上場や海外投資による利益の伸びとも関連している。外貨準備のうち相当な部分を占める米国債は、債券価格の上昇に伴い収益が増加している。

中国共産党中央政策研究室経済局の李連仲局長は「米サブプライム問題の拡大に伴い、世界のホットマネーが中国に大量流入したことが、外貨準備増加の一因だ」と指摘する。

中央銀行反マネーロンダリング局の唐旭局長は「外貨の中国流入は主として中国の経済成長を評価してのことであり、投機的なホットマネーが外貨準備の急増を促した主要因ではない。現在の中国の外貨管理は十分に有効だ」と話す。 

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