ホーム>>経済>>視点
中国の外貨準備高がG7を上回った背景
発信時間: 2008-06-17 | チャイナネット

利益と弊害

中国社会科学院財政・貿易経済研究所の裴長洪所長は「十分な規模の外貨準備を維持していることは、私たちのような市場経済に向けて発展中の大国には必要なことだ。国際支払能力の強化や世界的な資本流動の不確定性への対応、海外投資の展開などで外貨は必要だ。十分な外貨準備は人民元が国際的な信用を獲得するための重要な基礎でもある」と話す。

北京大学の蕭灼基教授は「一定規模の外貨準備は、国のマクロ調整能力の強化や世界経済の金融リスクの防止にとって重大な意義をもつ。中国の外貨準備が十分であれば、外貨市場への関与力が大いに強化され、人民元レートの安定、総合的なマクロ金融環境や経済秩序の安定にも、積極的な作用をもたらす」と話す。

外貨準備は「通貨の自由両替の物的基礎」でもある。首都経済貿易大学の謝太峰教授によると、国内・海外での経験から明らかなように、ある国が保有する外貨準備資産の多寡は同国通貨の両替の可否や国際化レベルと密接に関連しており、外貨準備は通貨の自由両替の物的基礎となる。現在、中国には十分な外貨準備があり、高い実力を備えており、資本項目の開放推進や人民元の自由両替の実現に向けて良好な基礎固めが行われ、人民元に対する国内外の信頼が高まっている。人民元が国際的に認められたハードカレンシーとなる日も近い。

一方、北京師範大学経済・資源管理研究所の李暁西所長は「外貨準備の規模が極めて大きいことが、中国の外貨政策、特に通貨政策の柔軟性を大きく抑制するものとなっている」と指摘。国家発展改革委員会対外経済研究所の張燕生所長も「外貨準備が絶えず蓄積され、ここから生じた中央銀行の外貨手形引受がマネーサプライの主な供給源となっており、中央銀行は相殺措置を取って市場に出回り過ぎた通貨を回収せざるを得なくなっている。こうして通貨政策の独立性が大いに損なわれている」と話す。

一国の外貨準備が増えれば、同国通貨の上昇圧力が高まる。

経済学者の梅新育氏は「巨額の外貨準備により、中国は通貨政策の操作の主導権をかなり失ったと同時に、人民元レートの上昇圧力が増大した」と話す。

また巨額の外貨準備により、外貨準備のコストは高まり、リスクも増大している。中央財経大学金融学院の張礼卿院長の指摘によると、巨額の外貨準備を保有するには、資金をより有益な方面に投資できないという機会コスト、外貨手形引受のために発行した中央銀行手形を回収するための相殺コスト、潜在的なインフレリスク、手持ちの米ドル資産の価格下落リスク――などを引き受けざるを得ない。

     1   2   3    


  関連記事
  同コラムの最新記事

· 世銀レポート、中国の燃料価格への補助がマイナスと指摘

· 世銀レポート、中国は金利引き上げを検討すべき

· 金融市場の問題、監督不足も一因 中央銀行総裁

· ベトナム金融危機から得た教訓とは?

· 世界的食糧価格急騰、中国への影響は小