(2)整備進む法律システム
中国の知的財産権保護活動では、行政の保護と司法の保護との二本立てによる保護モデルが確立しており、他部門が協力・連携する作業メカニズムも形成されている。
中国で知財権保護の職能を担当する主な部門は、知識産権局、工商行政管理総局、新聞出版総署、版権局、文化部、農業部、林業局、公安部、税関総署、最高人民検察院などだ。04年には国務院副総理が代表を務める国家知的財産権保護作業チームが発足し、全国の知財権保護活動の統括管理に責任を負うようになった。
数年来、国は行政側の法律執行機関と公安機関、人民検察院との知財権保護をめぐる協力を強化し、関連の通知、規定、意見を公布して、知財権侵害犯罪の摘発、関連の協力提携の問題、行政法律執行機関から公安機関への犯罪案件の適時引き渡し、行政側の法律執行と刑事側の法律施行との連携協力などについて、明確な規定を打ち出した。
過去約20年間に、人民法院と各レベル知財権行政管理機関は大量の知財権案件を処理してきた。1985~2007年に全国の地方法院が受理した知財権をめぐる民事訴訟の第一審は約11万5千件、うち審査したものは約11万1千件に達する。87~07年に全国の法院が受理した行政訴訟第一審は4675件、うち審査したものは4613件に上る。03~07年に地方の知識産権局が受理した専利をめぐる紛争案件は6427件、摘発した専利侵害案件は919件、専利詐欺案件は8152件に達した。
また部門間や地域間の法律執行をめぐる協力が一層緊密化した。税関は知財権保護機関を特別に設け、税関総署、直属の税関、付属の税関の3段階からなる知財権法律執行システムを基本的に形成した。法院は知財権の審理組織を整備し、各高級法院と多数の中級法院、知財権民事案件の管轄権を備える基層法院に知財権法廷を設置し、これまでに172法廷が設置された。工商、版権、知財権などの担当部門と公安部門とによる定期的な連席会議制度がうち立てられた。高級人民検察院はニセ物の製造・販売や知財権侵害犯罪の立件監督メカニズムを構築し、行政による法律執行と刑事司法による法律執行との連携を促進している。地域を超えた法律執行協力メカニズムも構築されつつあり、複数地域にまたがった知財権侵害案件の効果的な摘発を促進している。
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