(2)世界の多極化
今回の金融サミットでの欧米の動きを見ると、一方では情勢に迫られたことから、国際金融新秩序の中で新興市場国家の存在感を高める必要があることが確認された。だがもう一方では、多元化された国際貨幣システムの建設の問題に、欧米は依然として立ち入った態度を示していない。ある分析によると、これは主に、欧州と米国が今後の国際金融新秩序の主導権を争いながらも、依然として共通の利益を持っており、今後の国際金融新秩序を共に主導していくねらいがあるためだ。ユーロは、国際的な準備と決算のための貨幣としてドルと肩を並べる価値を持ちつつある。国際貿易と商品価格の面ではドルが優勢を誇っているが、その地位は下降しており、ユーロの地位は逆に上がっている。冷戦終了後に欧米が形成してきた「共同しながらも服従せず、戦いながらも負かさない」という関係は、双方の政治・経済・金融などの多方面での必要に応じたものとなっている。
世界は現在、多極化に向かっている。国際政治と世界経済の多極化の局面は止めようのないものだ。これと呼応して、国際金融システムの多元的な発展は大きな流れとなっている。国と国との貿易の際にどの貨幣で価格を決め決算するかは、国家の貨幣の主権にかかわる。米国・ユーロ圏・英国・日本などは国際貿易の価格設定と決算の際に、自らの貨幣の主権を堅く握っている。だとすれば、多元化された国際貨幣システムの着実な推進の中で、国際的な経済・政治の地位に見合った役割を発揮しあるべき地位を占めることを、多くの発展国が求めるのも当然のことだ。
現在の国際金融システムは国家の実力の反映であり、現在の単一的な世界貨幣決算システムを調整することは一朝一夕ではできない。新興経済国の実力が不断に増強するのにつれてゆっくりと実現されていくものであり、米国などの先進国の積極的な支援も必要だ。リスクの出現を防止するためには、新興経済国の利益をもっと考えながら、具体的で細かい改革の手順を定めていく必要がある。長期的に見れば、このようなプロセスが平穏に実現されれば、公平・公正・寛容・秩序という国際金融の新たな秩序を一歩一歩構築し、世界経済の持続可能な発展のためにさらに堅固な土台を固めることができるだろう。
「人民網日本語版」2008年11月18日
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