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パナソニック、三洋買収は「生死の分かれ目」か
発信時間: 2008-12-26 | チャイナネット

ウォッチャーが今回の買収を評価しない主な理由として次の2点が挙げられる。

 第一に、買収を選択した時期がよくない。現在、世界経済は困難の渦中にあり、消費者の信頼は振るわず、市場が急激に縮小しており、こうした状況が長期にわたって続くものとみられる。企業規模が大きいほど、受けるダメージも大きくなることは間違いない。世界企業上位500社に連なる企業として、パナソニックも三洋も巨大なダメージを受けたはずで、だからこそ三洋電機の側に買収される必要性が生じたのだともいえる。しかし64億ドルもの資金はパナソニックのような大企業にとっても大金だ。これほどの「血液」を絞り出せば、パナソニックが大きな痛手を被るのは必至だ。より重要な問題としては、世界経済が振るわないため、買収してもその効果がすぐには現れないとみられることで、パナソニックも三洋もこれから長期に及ぶ試練をくぐり抜けなければならない。大量の血液を絞り出した松下にとっては、それこそ生死に関わる重大な試練だといえる。

 第二に、買収後の再編が難しい。パナソニックと三洋はそれぞれ長い歴史をもつ多国籍企業だ。同じ日本企業であり、創業者が親戚同士というつながりはあるが、それぞれの企業文化は異なる。両社は企業文化に基づいて経営を進めてきたし、これが企業発展の土台ともなった。両社の企業文化は本質的には相容れないものだ。買収後に両社の企業文化の改造や調整がなされることは確実で、これは相当長く困難なプロセスになり、一定の期間、企業内部を激しく消耗させ、企業の運営にも影響することが予想される。世界的な危機に全力で対抗すべき重要な時期にあって、自家消耗による副作用は経済情勢が好調な時期をはるかに上回る大きなものとなるだろう。率直にいって、日本人従業員の企業に対する忠誠度は高く、三洋の社員に頭を切り換えて松下による買収の事実を受け入れ、松下の企業風土に適応するよう求めるのは、おそらく容易なことではない。同じ家電メーカーとして両社は製品の製造ライン、市場、ブランドなど多くの場面で激しくぶつかり合うとみられ、再編の困難さは双方のトップの予測を大きく上回るものとなりそうだ。

 再編はまだスタートしていないが、あちらこちらから反対の声が聞こえてくる。パナソニックは引き続き三洋ブランドの独立性を維持し、従業員の独立性も維持するとしているが、三洋傘下の在中国合弁会社は買収されたくないとの意向を示している。こうした声には両社が抱える問題点が反映されている。ウォッチャーによれば、パナソニックの承諾は便宜的なもので、買収を行ったからには三洋の経営管理に着手するのは時間の問題だ。その時、両社の企業文化が激しくぶつかりあう「爆発期」が始まることが予想される。

 「人民網日本語版」2008年12月26日

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