グローバル貿易や投資流動性の増加と賃金増加の減速から、中国ではここ数年、世界各国と同様、生産コストが労働力から資本に傾斜していた。中国の賃金総額がGDPに占める割合はわずか40%前後。企業の競争力が高まる一方、労働者の可処分所得は下降する傾向にある。その結果、中国の消費がGDPに占める割合は90年代中期の45%前後から現在は約35%にまで下がった。消費能力の低下はさらに悪化する可能性がある。金融危機の打撃を受け、農民工(出稼ぎ労働者)2000万人が新たな失業者となっている。低所得者やその家族はどうやって消費を増加させるのか。政府はこれに対し、一連のプランを打ち出したが、その中心となる考え方は、「就業を増加させ、内需を牽引(けんいん)する」ことだった。4兆元の投資計画や産業振興計画などの措置の主要な作用は「消化を助ける」ということ。つまり、就職を増やし、企業の生産能力を消化することだ。
最近の報道によると、関連部門は現在、個人所得税への突っ込んだ改革を準備している。その目標は、「分類」と「総合」を結びつけた個人所得税制を構築すること。個人所得税の課税起点を引き上げるといったシンプルな調整にとどまらない改革となる見込みだ。個人所得税改革は低所得者層にとっては税負担の軽減であり、民心を得た改革となることは間違いない。社会のほとんどを占める低所得者の負担を軽減してこそ、人々の消費能力を向上させることができるからだ。だが減税の力には限りがあり、政府には2つの分野での措置を取ることが期待されている。まず、社会保障ネットワークによるリスク回避能力を向上させること。次に、一般従業員の賃金を増加させること。消費不足という問題を根本的に解決するにはこの2分野の措置が不可欠だ。
「人民網日本語版」2009年2月9日
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