今年第1四半期、中国人民銀行(中央銀行)が市場から購入した外貨は月平均でわずか1000億元超で、2006年以来の最低水準となった。しかし4月以降、このデータはうなぎのぼりで、5月は2869億元まで増加、6月末には中国の外貨準備高が初めて2兆ドルを突破した。また同時に、国内の株式市場や不動産市場も引き続き上昇している。それでは、100億単位の国際ホットマネーはどのようにして中国に流入したのだろうか。
「私はもう年だが、自分の子供が中国とともに成長することを願っている」ロジャーズ氏が言っている。新興市場の中で、中国経済に期待が集まり、国際資本は機会を伺っている。資本の利益追求は資本そのものの本質であるが、これは資本の貪欲さ、またはこれら金融投機家の人間としての貪欲さによるものと言える。
景気後退とインフレのダブルの圧力に直面し、現在の中国経済について深く考える必要がある。現状から言うと、リスクとチャンスが原因で、別の危機が起こる可能性があると言える。
景気を回復させるため、国は通貨緩和政策を採り景気を刺激しようとしている。これらの積極的な財政政策を見ると、間違いなく経済の改善にプラスとなっているが、次のインフレ危機の原因ともなっている。現在の失業と生産過剰の状況では、実体経済がインフレとはまだ一定の距離があるため、中国人民銀行はまだ行動に出ていない。しかし、低すぎる資本コストと過剰流動性は資産価格のインフレを必然的に引き起こし、いずれ実体経済にもまん延することになる。これは大いに重視すべき点である。
実体経済に打撃を与え、人民元を狙い撃ちすることこそが、今回の勝負の真の目的であろう。
いくつかの現象について、かねてから深く考えている。先日終えたばかりの中米戦略・経済対話では、人民元レートについては触れなかった。実際、今回の計画で人民元を持ち出して話し合う必要などなかった。また、大口商品の価格上昇、A株市場での資源関連株の上昇、第2四半期以来の外貨資本の大量流入、最近の鉄鋼セクターへの巨額資金の流入、IPO発行のペース、不動産バブル、A株市場のバブルなどについても考えている。
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