さらに重要な問題はここである。消費と投資の間にある内需の組み合わせが不均衡で、より深刻となっている。個人消費の対GDP比は1990年の49%から2008年には35%まで低下した。投資の対GDP比は35%から44%に上昇。今年、政府の景気刺激案の大部分がインフラ施設の建設に投下され、投資の割合はより拡大した。中国の資本支出は初めて米国を上回る見込みだが、消費支出はわずか6分の1で、これが主な中国経済の不均衡となっている。
鉄道や道路、送電網建設への投資は短期間で需要をけん引する最も効果的な方法で、特に中国のようなより優れたインフラ施設を必要としている国であればなおさらである。しかし、投資は継続的に行われるものではなく、今年のインフラ建設ブームを前にこの方面への投資が増え、多くのエコノミストは生産過剰や銀行の不良債権のリスクを懸念していた。
中国の世界経済危機への対応速度は賞賛すべきである。中国は現在、構造調整に力を入れる必要があり、これは内需の増加を維持し貿易黒字をさらに減少させるためだけでなく、消費増加が成長に占める割合を高め、投資への依存を軽減するためでもある。
中国がどのようにこれをやり遂げるかを討論する前に、誤解を解く必要がある。中国が経常収支黒字を維持しているのは消費者の支出が少ないためだと思われがちである。実際、中国には世界で最も発展速度が速い消費者市場があり、過去10年の伸び率は8%に達する。過去12カ月の小売額も17%増加している(政府調達の要因も考えられるが)。そんな状況にあっても、中国の消費者支出の伸びはやはり経済全体より劣る。結果的に消費の対GDP比は低下し、国際基準と比較すると明らかに低い。その他のアジア諸国は50~60%、米国は70%だが、中国は35%である。
消費の割合低下の主な原因と最良の解決方法に対するエコノミストの意見は異なる。最も一般的な解釈は、社会保障システムの不足により中国の家庭が収入の多くを銀行に預金するというものである。中国の人たちは将来の医療、教育、老後のために多くの貯蓄をしている。コーネル大学のエコノミストであるエスワール・プラサド氏は、中国の都市家庭の貯蓄率は過去10年で20%から28%まで上昇したと話す。エスワール・プラサド氏は原因となるすべての可能性を考察し、医療と教育負担の不確かさが主な原因だとした。また、未成熟な金融システムにより家庭が貸付を受けることは難しく、状況をますます深刻にしているという。
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