だが今日もなお日本には製造業に対する根強い愛着がある。議論を重ねても、話題はいかにして製造業の競争力を強化するかということから離れず、製造業に対する愛着は迷信のレベルに達しているといえる。数年前には製造業に特化した大学の設立も検討された。経済大国である日本の経済構造は、実際には非常にバランスが悪い。製造業の力は非常に強いが、農業やサービス業の水準はお世辞にも高いとはいえない。先進国では今や、サービス業の割合が製造業を大きく上回る。日本はこうした現状を大変よくわかってはいるものの、現状を変えるだけのパワーは生まれてこない。
感情は理性に代わることはできない。現実は非常に厳しい。競争がますます激化し、製造業製品の利益がますます縮小する中で、日本の労働者の給与水準は世界最高で中国などの発展途上国の数十倍にも達しており、日本製品が競争力を保つのが難しいのは当たり前だ。ハイテク分野でも、日本は米国の地位を脅かせずにいる。こうした狭間にあって、日本の製造業の力が一層強まったとしても、身動きが取れなくなって、出口を見つけられないという苦境に陥るのは当然のことだといえる。
他の成功モデルを参考にして、より完成度を上げるよう努力する。これが日本の強みであり、日本人が最も得意とするところだ。だがトップに立って先頭を走るとなると、どの方向に向かったらいいのかわからなくなる。これこそが日本の最大の弱点であり、このため日本はこれまでトップランナーになったことがない。日本経済が長年低成長あるいはマイナス成長の循環から抜け出せないでいるのは、こうしたことと密接な関連がある。
米国は家電市場を日本に譲った後、「情報ハイウエー」の建設に力を注いだ。日本では「IT(情報技術)革命」が提唱されてから10年になるが、見るべき成果を上げていない。携帯電話は情報技術の代表的製品であり、米国はバージョンアップや世代交代を迅速に進めてIphoneを打ち出したが、日本は数多くの電子メーカーが束になってもノキア1社に及ばない。
こうした苦境にあって、日本は国中の力を結集して、現状打破の道を探らなくてはならない。新しい発展の道、すなわち新たな発展モデルを模索しなければならない。こうした努力なくして、日本が希望の光を見いだすことはあり得ない。
「人民網日本語版」2009年11月19日
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