中国光大集団の唐双寧董事長(会長)はこのほど、経済成長の牽引をテーマとする論考を発表した。主な内容は次の通り。
中国の経済成長に関して、現在は投資、消費、輸出の3要素からなるトロイカのバランスが悪いことは明々白々だ。消費の牽引作用は一日にして成るものではなく、輸出の牽引作用は中国だけが望んでいることではない。中国の国力からいっても、信頼感からいっても、また雇用や社会の安定からいっても、現在から今後相当の期間にわたり、投資によってしか経済を牽引していくことはできない。他の要素も牽引に努めないわけではないが、すぐには効果は現れない。
今後の投資による牽引では何を牽引すればよいか。私は6つのポイントがあると考える。第一に、引き続き適度な割合でインフラ投資を行うことだ。特に農村の道路交通、農業水利施設、文化・教育・医療衛生、防災などに関するインフラ建設が重要だ。現在、中国の都市は欧州に似ているが、農村はアフリカに似ているといわれる。こうした状態を徐々に改め、農村はアジアのように、将来的には欧州のようにならなければいけない。第二に、小都市の建設ペースを加速することだ。第三に、国民生活を引き続き支援することだ。特に環境保護、国民の教育、文化・スポーツ・旅行、医療衛生、重要なインフラ設備などの分野に早急に力を入れることだ。第四に、科学技術への投資を拡大することだ。特に海洋、極地、宇宙、国防、バイオ医学、新エネルギー、新材料、新技術、新技能といった国の革新戦略の最前線にある研究開発への投資が必要だ。第五に、戦略的意義のあるエネルギー、原材料、海外投資が重要だ。第六に、重点地域の重点分野における生態整備への投資が重要だ。砂漠化対策、植生整備、河川・湖沼対策などだ。
この中で特に取り上げたいのは農村の投資の問題だ。中国経済の最大の特徴は(都市部と農村部の2つの部分で構成される)「二元経済」だということにあり、最大の問題は構造がバランスを失っているということにある。経済を牽引する3要素のバランスが悪いだけでなく、投資そのもののバランスも悪く、特に都市部と農村部とで投資に不均衡がある。都市部での投資には有り余る財源があるが、農村部での投資は「手元不如意」の状態だ。このため農村投資の比率を高めることが極めて重要だといえる。
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