日本やドイツ、中国の例から明らかなように、通貨の切り上げが貿易調整に与える影響には限界がある。人民元の大幅な切り上げによって、再度世界経済のバランスを調整するのは不可能だ。強制的に通貨の切り上げを迫るのは互いに何らメリットもない上、非理性的な選択でもあるーーと中国商務部の陳徳銘部長は21日、2010年中国発展ハイレベルフォーラムで語った。
この言葉の背景には、04年5月以降毎月続いた中国の貿易黒字がストップする可能性を示唆している。中国の輸出は昨年12月以降3カ月連続プラス成長を続けてきた。このため人民元切り上げに対する期待が高まり、ここ最近中米間の人民元レート政策に関する対立は日増しに激しさを増している。
陳氏は、「理論的にも過去の例からも、通貨の切り上げが貿易調整に与える影響には限界があることは明白だ」との見方を主張する。
05年から08年にかけ、人民元の対ドルレートは20%以上も切り上がったが、その間、中国の貿易黒字は減少するどころか増えていった。一方、昨年の人民元の対ドルレートは基本的に安定していたが、貿易黒字は前年同期比34.2%減少。さらに今年1月から2月にかけ、人民元レートはほぼ安定していたにもかかわらず、貿易黒字の減少幅は50%を上回った。「個人的な予想だと、今年3月には貿易赤字に転じる」と陳氏は厳しい判断を下す。
昨年の貿易黒字のうち、73%は米国だった。というのも、米国が中国に対してだけ厳しい輸出規制をかけたからだという。
今年4月10日に米財務省が為替レート政策を報告するのを前に陳氏は再度、「人民元レートは過小評価されていない。米国自身の必要から事実に背く答えを出そうものなら、我々にも考えがある」と言及した。
「人民網日本語版」2010年3月22日