吉利汽車は3月28日、フォード・モーターから傘下のスウェーデンの高級車ブランド「ボルボ」の株100%を買収することで合意に達した。これにより注目を集めていた「国境を越えた取引」は成立した。
今回の取引には重要な意味が含まれている。吉利はローエンドブランドというイメージを拭い、ボルボの技術体制と「最も安全な車」というブランドイメージに頼り、全面的な戦略転換を遂げることができる。急成長する中国自動車業にとって、この取引も一里塚的な意味を持っている。以前、国内最大手の上海汽車は韓国の雙龍自動車(サンヨン)の買収に乗り出したが、失敗に終わった。
世間的に言えば、これは不釣合いな買収取引である。吉利の歴史はわずか20年で、自動車を製造してまだ15年しか経っておらず、ローエンド自動車を中心に製造している。しかしボルボには80年の歴史があり、総資産は15億ドルを超え、ブランド価値は100億ドルに迫り、優秀な開発人材を保有し、年間生産台数は約60万台となっている。中国の自動車関係の仕事をしていたある元高官は先日、「中国にボルボを買収できる自動車メーカーはまだない」と話している。
客観的に見て、吉利がボルボの買収に成功した理由として、金融危機でフォードが痛手を負ったことやライバルメーカーが少ないことが挙げられる。しかし、これは吉利が幸運であることを十分に説明できない。実際、吉利によるボルボ買収はとっさの行動ではなく、李書福会長は7~8年前から海外買収を計画していた。これまでに、吉利は英国などの自動車ブランドも買収している。