米国の一部の議員や役人、学者は中国に圧力をかけ、人民元切り上げを要求しているが、欧州諸国、中国の近隣国である日本や韓国、中国に原材料を輸入するラテンアメリカ、豪州はまったく異なる見解を示している。これは、日本円切り上げが要求された当時とまったく違い、経済関係の国際関係における地位が比べものにならないほど高まっていることを反映している。
米国は中国の輸出が世界経済の不均衡につながると述べ、人民元切り上げを迫っている。この理論に基づくと、人民元を切り上げ中国の輸出を抑制することで世界経済はバランスを取り戻すと米国は考えている。米国はこの理論を立て、関連国を引き込み人民元を切り上げさせようとしている。
しかし、各国の実際の態度を見ると、米国は「同盟軍」を結成することはできなかったようだ。これは日本に「プラザ合意」締結を迫った時と大きく異なる。
米国に同調する国は現れず
中国への為替戦争で、米国は最初から中国の最大の貿易相手である欧州連合(EU)が「盟友」になることを期待していたが、EUは人民元レート問題を政治問題化するつもりはないとの態度を明確にした。英『フィナンシャル・タイムズ』が3月25日に報じた内容によると、欧州委員会のカレル・デフフト通商問題担当委員は、「4月の訪中の際に貿易に影響する要素(靴製品から外国投資まで)について中国政府と協議を行うが、人民元の貨幣価値はその中の一つの問題に過ぎない。現時点では、この問題がまだ政治問題に発展していない」と述べている。
EUの中心国の一つであるドイツも同様の態度を示している。ドイツのライナー・ブリューデルレ経済・技術相は23日、「中国が人民元レートを変動相場制に移行させることを望んでいるが、それが容易でないことをドイツは理解している」と語った。
米国の昔からの「盟友」である英国でさえ米国に同調しなかった。英国のデービッド・ミリバンド外相は23日、メディアに対し「人民元の価値問題について、英国政府は何の立場も示さない」と話している。
米国に従いたくはないが中国に憎まれたくもないという欧州諸国のあいまいな態度と比較し、中国の近隣国ははっきりした態度を示している。
ロシア中央銀行の副総裁は中国高官と会見した際、ロシア側は中国の人民元為替レート政策を支持すると強調した。
日本の野田佳彦財務副大臣は、「強制的な方法で為替相場の切り上げを求めることに反対する」と話している。
韓国の『中央日報』は16日、こう報じている。韓国が中米の為替レート論争でどっちつかずの態度を取ろうとすれば、韓国が「小国の本質」を脱していないことになる。韓国は「ソウルコンセンサス」で中米の為替レート論争を解決すべきであり、一方的に中国に圧力をかけるというものではない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年4月2日