復旦大学経済学博士・マクロ経済評論家 溥勇
昨年末の市場の予測と比べると、現在のマクロ経済には予想外の動きが見られる。中国と先進国の景気回復状況に大きな「温度差」が生じ、これは必然的に国内外の刺激策の撤退にも影響する。市場ではこの現象に関心が寄せられ、すでに予想の調整が行われた。しかし、これらの予想外の動きは一時的なものなのか。この動きを基礎とし、新たに予想外の動きはあるのだろうか。これらの問題の答えは、経済の今後の動きにも関わってくる。
国内外のマクロ経済に予想と異なる2つの動きが現れている。一つは、主要先進国に期待していたほどの大きな回復が現れていないことだ。ユーロ圏や英国は思いもよらなかった債務問題に直面し、これは引き続き欧州の経済回復を妨げることになる。日本は1990年代以降続いている後退を依然脱しておらず、その上、刺激策を拡大しなければならない状態だ。米国は2009年第4四半期に経済指標が大幅に回復したが、主に在庫投資の増加によるもので、典型的な「雇用なき回復」となっている。そのほか、米国の不動産市場には未だ回復の兆しが現れておらず、投資と消費は緩やかな上昇となるだけで、米国の輸出が回復で大きな役割を果たすとは考えがたい。
もう一つは、中国経済は望みどおり率先して回復しているが、物価の回復速度は予想を上回り、経済過熱のリスクと緊縮政策の圧力が予想より早く高まっていることだ。最近のデータによると、中国経済で一時懸念されていた生産能力の不足はほぼ解決され、経済は長期的な水準まで回復した。現在の経済成長は内需けん引型であり、不動産分野や工業分野で個人投資が盛んに行われている。家計消費も徐々に増加し、輸出は正常な水準まで急速に回復し、一部地域では労働者不足が生じている。