表面的にみれば貯蓄傾向が優位にある。だが国務院発展研究センター金融研究所の夏斌所長は「全体的な貯蓄率の上昇は政府や企業の貢献が主要因だ」と指摘し、次のように述べる。過去11年間に国民の貯蓄率は19%から22%へと、わずか3ポイントしか上昇しておらず、引き続きインド(24%)を下回った。一方、政府と企業の貯蓄率は17%から29%へ12ポイント上昇し、全体的な貯蓄率の上昇に対する貢献度は80%を超えた。
経済学者の謝国忠氏によると、消費の低迷は新興の中産階級が政策環境により抑制されたことが原因だ。不動産価格、自動車価格、収入への課税率は高止まりしている。中国の消費者や世帯の特徴ではなく、政策こそが輸出への過度の依存と消費の低迷をもたらしたといえる。
米エール大学の陳志武教授(金融学)はよりはっきりと次のように述べる。ここ数年来、中国の経済は毎年10%のペースで成長してきたが、国民はこの数字に見合った豊かさを感じられていない。土地価格や資産価値の上昇、国有企業の利益は政府が掌握し、一般の国民が分け前にあずかることは難しいからだ。
昨年の収入に関する状況が陳教授の説を裏付けている。昨年の中国の財政状況は過去10年間の勢いを継続し、財政収入の増加率が経済成長率を超えただけでなく、国民の収入の伸びをも上回った。通年の財政収入(予算)は6兆8771億元で前年比11.7%増加し、増加率はGDPを3ポイント上回った。都市部住民の可処分所得は同8.8%増加して、増加率は財政収入を2.9ポイント下回り、農村部住民の純収入は同8.2%増加して、増加率は財政収入を3.5ポイント下回った。
「人民網日本語版」2010年4月13日