アジア開発銀行は13日、中国の2010年のGDP成長率予想を9.6%に上方修正し、消費者物価指数(CPI)伸び率を3.6%に予測した。「今年のGDPは2桁成長」と耳にしてきた人たちにとって、成長率9.6%はもはやニュースとは言えないが、CPIの伸び率が3.6%に達するという予測は、警戒感を与えている。同行の李鐘和チーフエコノミストは、中国大陸部と香港で、資産バブル形成のリスクが急増していることを指摘した。
ホットマネーの流入が加速
中国大陸部と香港の資産価格は、すでに金融危機発生前の水準まで回復し、資産バブルのリスク蔓延が懸念されている。3月の購買担当者指数(PMI)が全面的に回復し、インフレ圧力が高まる中、世界経済の回復によりコスト上昇圧力がもたらされ、それに伴いインフレリスクも高まっている。興業銀行は、3月の中国の生産者物価指数(PPI)伸び率は6.4%に達すると予測している。
多くの研究機関が、中国の今年のCPI伸び率は3~4%となると予測している。この予測は政府の目標である3%を上回る。
「中国が3%以上のインフレに対応しきれないというわけではないが、主に民衆の心理的要素に影響される」と、ある銀行のアナリストは分析。また、「CPIの予想を上回る上昇は、資産バブルの形成をある程度刺激するだろう」と述べた。
シンガポール華僑銀行の謝棟銘アナリストによると、中国の外貨準備高は昨年12月の2兆3990億ドルから3月には2兆4470億ドルまで増加した。今年1月~2月、ドル高により中国の米国以外の資産は減少し、外貨準備の伸びは緩やかとなった。ところが、3月の貿易赤字は72億4000万ドルとなったが、その背景下で外貨準備がなお220億ドル増加したのは、ホットマネーの中国への流入が加速したことを示している。
資産バブルは調整可能か
中国では最近、不動産価格が急騰し、最大のバブルとなっているとの見方がある。アジア開発銀行の荘健エコノミストは、「中国の一部大都市では不動産価格が異常な上昇となっている。対策を打ち出しバブルの発生を防ぎ、投機を目的とする売買を抑制すべきだ」と指摘した。
ところが、興業銀行の魯政委エコノミストは、「インフレ防止や低金利政策などだけで不動産価格の異常な上昇を解釈してはいけない。昨年から現在まで、上海や北京などの大都市の住宅価格は大幅に上昇したが、オフィスビルの価格伸び率は住宅にはるかに及ばない。そのため、中国の不動産市場の異常は、供給不足と構造不均衡の結果であり、投機が唯一の原因ではない」と見ている。
ホットマネー流入が資産バブルの形成に及ぼす影響について、スタンダードチャータード銀行中国研究部の役員である王志浩氏は、「中国経済が急成長する背景下で、ホットマネーは存在し続けるだろう。ホットマネーの存在はまだはっきりと判断できず、規模もはっきり掌握できていない。中国はホットマネーの流入に配慮しなければならないが、問題はそれほど深刻ではなく、資産バブルの形成への影響もそれほど大きくない」と語る。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年4月14日