国家統計局が15日公表した国内総生産(GDP)や消費者物価指数(CPI)など一連の重要な経済データは、第1四半期の中国経済の動向をよく描写している。人民元切り上げ圧力が増す中、元相場は安定し、中国経済が持続回復する重要な支えとなった。
第1四半期の元相場は落ち着いた動きを示した。3月31日の人民元の対ドル基準値は1ドル=6.8263元で、09年12月31日より19ポイントの小幅上昇。この間の人民元の対ドル基準値は最高値で1ドル=6.8261元、最安値で1ドル=6.8281元とその差はわずか20ポイントだった。
2005年の為替制度改革から2008年7月までに人民元の対ドルレートは約20%切り上がった。世界的な金融危機の爆発以降、人民元の対ドルレートは再び1ドル=6.8元前後をキープし、すでに20カ月以上経った。
その間、人民元は切り上げ圧力に耐えてきた。そして今年の第1四半期にはその圧力が突如増大。3月15日、米国議会の議員130人余りが連名で中国を「為替相場の操縦国」に仕立て上げ、中国に貿易制裁を加えようとしたのだ。
一方、中国本土でも人民元切り上げに対する予測が高まった。中央銀行上海本部が最近発表した上海の通貨貸付金に関する報告によると、人民元切り上げ予測に後押しされ、第1四半期の上海市の外貨貸付金が新たに50億ドル増加。A株市場では「切り上げ予測」により、製紙業界や航空業界などの勢いが増し、東方航空と南方航空の株価が第1四半期で20%以上上がった。
為替相場と関連性が最も高い経済指標のひとつ、中国の主要経済体への輸出は前年同期に比べ反発した。税関総署のデータによると、今年第1四半期の輸出は前年同期比28.7%増の3161億7000万ドルで、中国の輸出の伸びはある程度回復した。野村證券中国地区チーフエコノミストの孫明春氏は、昨年末から輸出がプラス成長に転じたため再び人民元切り上げの「導火線」に火がつくと予測する。