崩壊する「ギリシャ神話」

タグ: ギリシャ

発信時間: 2010-05-11 14:52:50 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

ギリシャ観光局の対外宣伝スローガンは「ギリシャ神話の中で暮らそう」だが、まさにその神話がいま崩壊しようとしている。ギリシャ政府は2日、給与と年金を削減し、税収増加等の緊縮措置をとることによって国際援助に換えることを表明したが、早くも悲観的観測がこの国を覆い始めている。数十年続けた生活習慣を、今さら誰が喜んで変えようとするだろうという疑念である。

関係各所の怒りも蓄積しているようだ。2日の政策発表のあと、早速ギリシャ公職協会ADEDYが異議を唱えた。「われら協会はもう噴火寸前の火山である」――そして全ての公務員に5日の全国大ストライキに参加するよう呼びかけた。実際に3日から、地方自治体の職員と教授が相次いでストライキを開始している。人員過剰の政府機関を大々的に改革して官僚主義と縁故主義を解消するようなことは政府にはできず、かえって一般庶民に生活苦を与えるだけになると多くの人が考えている。ギリシャ最大の労働組合GSEEは、これはギリシャ現代史最大の不公平かつ杓子定規な政策であると非難し、ギリシャ経済を深刻な麻痺に陥れることになると指摘する。『フィナンシャル・タイムズ』もその分析の中で、経済の衰退期に予算削減によって債権者の不満を静めるような方法をとれば、大規模の失業を招き、激しい反発を引き起こすことになると懸念している。

財政危機はとっくに市民生活に影響し始めている。アテネ中心部の雑貨店店主パバディス氏はインタビューに答え、「ここ数ヶ月は商売あがったりだよ、前は地元の人がタバコ三、四箱ずつ買っていったものだけど、今じゃ一箱しか買ってくれないんだ」と苦境を吐露している。また銀行で並んでいた定年後の老人は、たいていのギリシャ人は年金が毎月700ユーロに満たず、ドイツのマスコミが言うような3000ユーロなんかじゃないと言う。「政府がこれ以上年金を削減したら、生活は立ち行かないよ」。

しかし不思議なことに、アテネの街を歩いてみると、どこの娯楽施設に行ってもかつてのままの雰囲気が感じられるのである。大通りの喫茶店から狭い路地まで見て回っても、のんびりとくつろいでいる人は減っていない。一日に何万人もの人々が集会に参加して緊縮政策に抗議している一方で、アテネの海岸では多くの人が青空と海と陽光を楽しんでいる。先週末もアテネの有名なバーは人であふれ、近くの島までヨットで行って休暇を過ごした金持ちも少なくない。取材でクレタ島に行った際、午後の就業時間にハニア城のレストランを覗いてみると、食事に舌つづみを打つ人で満席だった。「危機はどこに…?」――50代のベテランマスコミ関係者フォディアラスは自嘲気味に、財政問題はギリシャにとって慢性の持病のようなものなのだと言う。「私たちは財政危機と一緒に育ってきたの」。

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年5月11日

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