「投資の神様」と言われるウォーレン・バフェット氏はこのほど、バークシャー・ハサウェイ社の年次総会の後、中国の記者の取材に応じ、米国経済や中国経済に対する見方を語った。
米国経済の再度底入れはない
ゴールドマン・サックスの証券詐欺疑惑、メキシコ湾の原油流出事故、ギリシャの債務危機など、米国経済の回復見通しに影響する出来事が次々と起こっているが、バフェット氏は依然として米国経済を楽観視している。
「米同時多発テロ事件のような大きな災難でもないかぎり、米国経済が再び底入れすることはない。経済回復は最初、あちこちで少し見られただけだったが、3月、4月になってからは全面的な回復が始まり、弊社も雇用拡大に踏み切った」。
国債問題がインフレを招く
ところが、流動性が増加したため、米国国債のGDPに占める比率はすでに56%に達し、引き続き国債を増やせば経済にリスクをもたらすことになるとバフェット氏は懸念する。
「第2次世界大戦後、米国の債務はGDPの1.25倍となったが、債務そのものは問題でない。ところが、債務が持続的に増加すれば、問題は現れてくる。昨年は金融危機対策として債務を増やした。これは必要なものである。しかし、国債発行をむやみに拡大すれば、長期的に見てその効果はずいぶん弱まる。経済は確かに回復しているが、心配なのはインフレだ」。
世界の通貨価値が低下の時代に
バフェット氏は、債務危機の影響はすでに現れており、米国だけでなく、ポスト金融危機時代に、世界の通貨価値が全面的に低下していると語った。
「ドルにしろ、ユーロにしろ、ポンドにしろ、世界の通貨が全体的に価値を下げることになる。つまり、食品や不動産などの商品を買う場合に、通貨の購買力が低下し、購入できるものが少なくなる。人民元の先行きについては断言できないが」。
「中国網(チャイナネット)日本語版」2010年5月20日