▽孤島の恐怖にある企業
中国企業にとって海外進出は国内でより生存しやすくなることを意味する。
2004年、聯想(レノボ)がIBMのコンピュータ製造業務を買収した。これは中国企業による国外ブランド買収の最初の例ではないが、それまで国外ブランドを買収しようとした中国企業の多くは失敗に終わった。このためレノボは先駆を切ったといえる。
この12億5000万ドルでのThinkPad買収は勇敢というべきだ。なぜなら2000年から2004年にかけてIBMはThinkPadで10億ドル近くの損失を出していたからだ。この損失額は当時のレノボの総利益の2倍に相当する。
西側メディアはこの買収を中国の実力が高まった証だと評価した。しかしレノボの楊元慶総裁は「追い詰められて活路を見出す」との考えを示した。当時レノボは中国市場における「ケーキ」を失いつつあった。レノボの技術はそう高くもなく、海外市場とのつながりもなかったため、当時、国外ブランド買収により国際化を実現し同時に技術も獲得しようとしていた。この一歩は困難を極めたが、最終的にレノボは海外冒険によって救われたとアナリストは分析する。
中国の自動車メーカー吉利汽車が今年、フォード傘下のボルボを買収した。この買収はボルボの海外でのブランドイメージを広げ、中国が国際的な影響力を強めていると見て取れる。吉利の創始者、李書福氏は「ボルボは中国市場で新しい家を見つけるだろう」とコメントしている。
▽「世界と共に製造」
「中国ブランド」の難しさに政府が気付き、大量の資金を投入して解決を始めた。
対内的には「本土革新」計画を推進し、自主革新とブランドを確立することで本土製造のハイテク商品を外国企業にコントロールされないよう市場を守ろうとしている。
対外的には、「国外進出」戦略を実施し、税収優遇や財政補助を通じて本国企業による国外企業の買収や自然資源の購入を支援し、海外市場に足跡を残している。
中国政府はまた巨額を投じて自らのイメージチェンジを図ろうとしている。一連のハイテク製品を世界に紹介する活動で、中国商務部と国際的な広告会社DDBは30万ドル相当の契約を取り交わし、「Made in China、その本当の意味はここにある。世界と共に製造すること」という宣伝文句をPRしている。
ここ数カ月、西側メディアは中国の「国外進出」戦略に対し、中国は世界的に石油や天然ガス、自動車メーカーを買収し、米国でも投資活動を展開していると集中的に報道している。2000年に280億ドルだった中国の海外投資額は、2010年には2000億ドルを突破する見通しだ。
「人民網日本語版」2010年5月28日