ファストファッションの一世風靡には世界的な背景がある。国際金融危機がますます多くの消費者を倹約に向かわせ、日本も例外ではない。あるインターネット調査によると、日本人消費者の半数以上が「時間を使って出費を抑えたい」と回答し、かつて多かった「金を使って時間を節約したい」という傾向は鳴りを潜めた。不景気によって人々は財布のひもを締め、同時にデザインが新しく、回転が速く、価格も手ごろなファストファッションが台頭するようになった。もはや膨らむことのない財布のひもを締めつつ、おしゃれで安い店に行って買い物するのは確かに悪くない選択だ。
ファストファッションの流行をもたらした主流は若い世代だ。彼らは1990年代のバブル崩壊後の「失われた20年間」に成長した。経済の低迷が続き、終身雇用制が解体し、雇用市場が悪化して、彼らは十分な経済力を備えることができず、上の世代のようなぜいたく品消費に対する信頼感や意欲をもっていない。
やむを得ない結果とはいえ、見過ごしてはならないのは、若い人の中には商品の実際の価値をブランドよりも重視する傾向が現れてきたことだ。消費に対するさまざまな考え方がある中で、商品の価値を見極め、見せかけでなく価値に回帰し、いわゆるぜいたく品に対する欲望が減少したというのは、実のところ一種の進歩だといえる。
ファストファッションは日本社会で徐々に根を張っている。経済の復興と消費心理の回復に伴って、人々の消費概念には一連の興味深い変化が生じる可能性がある。とはいえ、ファストファッションの流行が続けば、国民的なぜいたく品への「恋心」が徐々に薄まり、ついには「心変わり」するかもしれない。これは決して悪いことではない。
「人民網日本語版」2010年5月31日