経済回復の速度や方式、予想が一様ではないため、20カ国・地域(G20)首脳会議での欧州、米国、アジア各国の立場や主張は異なり、統一した発展戦略を打ち出すことは難しく、協議や協調を通して大筋で意見を近づけるしかない。
発表されたサミットの声明草案によると、G20首脳陣は26日に大筋で意見の一致に近づいた。今後3年で財政赤字を半減し、銀行資本の管理を強化する方針だが、各国が自らスケジュールを組んで財政赤字の削減と銀行管理の強化を行うことを認めるとしている。
また、銀行税の導入によって市場救済の支出を補填するかどうかは各国が自ら選択できるとしている。
回復速度はそれぞれ異なり、様々なリスクが併存
全世界に波及した金融危機と経済衰退の中で、以下のような3タイプの経済回復の方式と速度が生まれている。アジアは迅速に苦境から脱して真っ先に勢いを盛り返している。米国は揺れ動く中でその後を追いかけている。欧州は意気消沈の状態にあって回復が最も遅れている。
環境が違えば考え方も違い、発展原則が異なれば発展戦略も異なる。G20が世界経済の持続可能な発展をともに促進する原則について合意することは難しくないが、経済回復の万能薬を見つけ、受け入れることは容易ではない。
この大不況以降の非常に深刻な世界的な金融・経済危機に対応するために、1兆ドルに及ぶ経済刺激策の支出、銀行への資本注入、緊急融資によって、一部の国は巨額の財政赤字に陥ってしまった。
ギリシャの債務危機は、EU諸国に財政予算の削減に重点を置くよう警鐘を鳴らしている。しかし脆弱な回復によって再び底を探る事態が引き起こされることを懸念する米国は、各国が一斉に財政刺激を強化して国内需要を拡大するよう強く主張している。
G20の声明草案は、様々な速度の経済回復が必要であり、また、経済成長の維持と財政予算の面で均衡をとる必要があることを認識しないわけにはいかない。「このようなリスクが存在するときは、いくつかの主要経済体が同時性の金融政策をとるとマイナス効果が生まれ、経済回復の妨げになる可能性がある。また、このようなリスクが存在するとき、必要な場所で共同アクションを起こさなければ、経済成長を妨げ、経済成長に対する自信を損なってしまう」としている。