「私たちはチャンスを見つけた。中国の格付機関が台頭するチャンスを見つけた」。大公国債は米国市場への参入に3年の歳月と1千万元以上を費やした。
09年末までに、上海及び深セン市場に香港証券市場を加えた中国市場の時価総額は日本を上回った。新規株式公開(IPO)市場の時価総額は同時期の米国のIPO市場の2倍に相当。しかも、中国の債券市場にはまだ大きな発展の余地がある。
「米国の格付機関の中核的資本である「信用と評判」は、今回の危機の中で大きな傷がついた。米国の経済や金融市場の規模によってムーディーズ、スタンダード&プアーズ、フィッチ・レーティングスの三大格付機関が育成されたというならば、中国市場は今後数十年の発展の中で、政策や制度さえ整えば、必ず自国ブランドの格付機関の発展を促進することができる」と中国輸出入銀行の王建業・首席エコノミストは話す。
各国が狂ったように喜んだとき、ノーベル経済学賞受賞者のマンデル氏が冷や水を浴びせた。6月26日、「この世界的な金融危機によって、いったい格付業界をどのように発展させていけばよいのかということを考えさせられたが、私は、その解決方法は各国が自分の格付機関を設立することではないと思う。私も、小国が完全かつ厳格で信用のある格付機関を設立することができるとは思わない。中国は小国ではないが、まだ絶えず発展しており……」との見方を示した。
呉紅氏は、「中国の格付業界にも同じように重大な欠陥が存在し、直ちに信用リスクを掲示することはできない」と話し、主な問題点は以下の3つだと指摘した。①法規が欠如し、監督管理が無力である。②米国モデルに倣って運営した結果、市場に悪性競争が生まれ、信用ランクの売買が公然化している。③格付市場が米国の機関に主導され、中国の金融主権がひどく脅かされている。
信用格付の売買が公然化している問題について、大公国債の関建中会長は、債券市場の信用格付業務は最も低い価格を提示した会社が業務を手にしたこともあったが、最終的に国の関係機関が見かねて、希望価格を採用することになったと説明する。
中国先物協会の鄒建平常務副会長は、「20年前、日本留学から帰国したときに、自信満々に信用格付業界を選び、しっかりと準備をしたが、最終的にあきらめざるをえなかった。その原因は、この種の事業を中国で行うことは難しく、監督管理部門が口では重要だと言いながら、実に重視しないからだ」と話す。
胡錦濤国家主席は6月27日、カナダのトロントで開催されたG20サミットで、「信用格付機関の監督管理をより一層強化するとともに、信用格付機関への依存を減らし、信用格付機関の行為準則と問責制度を整備しなければならない。特に、客観的・公正・合理的・統一的なソブリン格付の方法と基準を制定し、その格付結果は一国の経済状況や信用度を正確に反映しなければならない」と述べている。
中国にとって、「任重くして道遠し」である。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年7月13日