中央財経指導グループ弁公室「信用格付と国家金融安全」プロジェクトチームの呉紅チーム長は、「米国の三大格付機関はソブリン格付やグローバル企業格付の中で、ほかの国、地域、企業の信用リスクを正確に示された信用リスクの角度から評価していないか、それが不完全である。しかも、ある程度、米国が金融手段を通じて他国の利益を奪い、米国の国家利益と投資家の利益を守る道具になっている」と指摘する。
同プロジェクトチームの報告によると、2003年末、ちょうど中国の銀行業が海外上場を図っていた頃、米スタンダード&プアーズは中国の経済が急速に成長していることや外貨準備高が安定して増えていることを顧みず、中国のソブリン格付を10年来付与してきた「BBB」(「投資適格」の最低ランク)に据え置くと発表したうえ、中国の商業銀行13行の信用格付も投資価値のない「ゴミランク」とした。
その一方で、米国の格付機関は海外投資家が中国の銀行の株式を購入することを是認し、「外資が中国の商業銀行と交渉する際にできるだけ価格を押し下げさせ、国際独占資本が中国の国有資産を強奪するための便を図った」。
2006年の1年間だけで、海外投資家は工商銀行、建設銀行、中国銀行、交通銀行などの国有銀行から7500億元を稼ぎ、そのほかの株式制商業銀行から得た利益も合わせると、中国の銀行業から稼いだ利益は1兆元を超える。
プロジェクトチームは世界銀行が2007年5月30日に発表した『中国経済四季報』の結論を引用して、「中国の銀行株は安売りされたが、問題はIPOにあるのではなく、これ以前に戦略投資家を引き入れた値決めにある」と分析。「低い株式購入価格により、海外の戦略投資家たちは中国の金融株上で暴利をむさぼった」としている。
例えば、2005年10月27日、中国建設銀行の香港市場での公募価格は2.35香港ドルであったが、これ以前に戦略投資家――米国の銀行に売り出された価格は1.19香港ドルであった。
信用格付が長期にわたって低いランクにあることで、中国政府や企業は海外融資のコストが大幅に増えている。一方、米国は長らく最高ランクに格付されており、そのおかげで年間数千億ドルの負債利子の支払いが少なくなっている。
米国は現在、世界最大の債務国であり、国債だけでも12兆ドルに達する。そのうち、外国政府の保有量は3兆ドル超。個人や企業投資家の保有分も加えると、外国資金は米国国債の50%近くを購入していると専門家は推定する。
中国人民大学国際通貨研究所の向松祚・副所長は、「巨大な国債市場のおかげで、米国は危機にさらされても平気だが、根本的な原因は外国人が喜んで米国人に融資することにある」と指摘する。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年7月13日