万博の日本館で最も魅力的な展示は何かと問うたならば、「ジャスミンティー」を演奏するロボットの他には、ムーブメントロボットに酷似した形状のトヨタの車「i-real」が挙げられるかもしれない。この電動車は二酸化炭素排出量が他のコンパクトカーの四分の一に満たないだけでなく、内装や塗装などが全て植物性材料でまかなわれている。環境保護の理念を余すところなく体現していると言える。
電動車以外にも、低炭素技術で世界を牽引する立場として日本は、家庭用燃料電池セット、水素利用、有機照明など、数多くの技術を上海万博で展示している。
1970年代のオイルショックを経験して以来、日本は国を挙げて各種省エネ技術の研究と応用を進めてきており、エネルギー効率の分野で常に世界のトップに立っている。1980年から2008年の約30年の間に、日本国内のエネルギー効率は38%上昇した。これは世界一の実績である。
2008年6月、各種の先端低炭素技術が確立されたことを背景に、福田康夫氏率いる当時の政権政党・自民党は「最先端の低炭素社会構築に向けて」という中間報告を発表し、受動的な低炭素社会から能動的な低炭素社会へと転換することを宣言した。「すでに温室効果ガスの排出が自由であった過去と訣別し、新しい世界に入った。最先端の低炭素社会を世界に先駆けて構築することは、蒸気機関による産業革命以来の経済・社会の仕組みやパラダイムの転換である」と報告の中で目標を設定している。
過去数十年にわたって日本の低炭素戦略が成功してきた秘密というのは何なのだろう? また「最先端低炭素社会」への転換はいかにして成し遂げられるのだろう?