モバイル・ラジオテレビキャリアの中広伝播集団と自動車大手の中国第一汽車集団公司は先月29日に北京で、戦略的協力合意に調印した。これを受けて今後、一汽集団の独自ブランド車を中心としたさまざまな車種に、モバイルマルチメディア放送の業界規格「CMMB」に基づいたマルチメディア・ラジオテレビがさまざまな方式で搭載されることになる。モバイルマルチメディア放送技術が自動車製造分野において全面的に応用される初めてのケースだ。
▽時速300キロでもクリアな画面
国家広播電影電視総局は2008年10月に、中広伝播が全国規模でCMMB規格のモバイル・ラジオテレビ普及プロジェクトの運営に責任をもつことを確定した。従来のカーナビゲーションシステムでできることは位置情報や経路案内の取得、VCDやDVDの視聴などに限られたが、CMMBモバイルマルチメディア放送は国内で独自に開発され、初めてモバイル端末に着目した新しいシステムで、高品質のラジオ・テレビ放送プログラムや情報サービスを提供することが可能だ。中広伝播の孫朝暉総経理(社長)は「同システムの技術的優位は、モバイル端末によるスムースな信号受信の問題を十二分に解決できるというところにある」と話す。たとえば時速300キロで走っている車の中でも、CMMB規格で見るテレビ画面はクリアでスムースだという。
携帯に便利なモバイルマルチメディア・ラジオテレビ製品には、携帯電話製品だけではなく、携帯電話以外の製品も含まれる。CMMB規格のチップを搭載すれば、小型ディスプレーを備えた各種のモバイル端末がたちどころにミニモバイルテレビに変わるという。現在、中広伝播は全国の地級以上の約320都市でネットワークを構築し、うち132都市では特に作業が進んでおり、中国にはすでに世界最大のモバイルマルチメディア・ラジオテレビ放送ネットワークが建設されたということができる。利用者はCMMB信号の受信が可能な都市にいれば、テレビ7チャンネルの視聴とラジオ4チャンネルの聴取が可能だ。
孫総経理によると、今後5年をめどに、大陸部の地級行政区域337カ所にCMMBネットワークを構築し、県級行政区域2861カ所でCMMB信号が受信できるようにする予定という。