人民元の対米ドル相場の中間値は27日、前取引日より36ポイント上昇して6.7742となった。人民元の対米ドル相場の上昇は3取引日連続。実際、今回の為替制度改革の基調が米ドルに対する連動制(ドルペッグ)を解除し、人民元為替レートの弾力性を高めることにあり、ドルに対する人民元の値上がり幅は6月19日に中国人民銀行(中央銀行)が為替制度改革の再開を決定してからわずか1カ月足らずで、計約0.8%に達している。国際金融報が伝えた。
しかし人民元為替レート改革に対する欧米先進国の期待は終始、人民元切り上げの一点に寄せられている。人民元相場の中間値の変動幅が単月で拡大しただけでは、これらの国を満足させることはできないようだ。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は27日、国際通貨基金(IMF)関係者の話として「中国は弾力性のある為替相場の採用を決定したが、人民元相場は依然として大幅に過小評価されている」と伝えた。
情報筋によると、IMF執行委員会は26日、対中国の年次経済審査報告について審議を行った。この時、上述の見解は米国、ドイツ、フランス、英国などの支持を得たが、人民元の急激な切り上げを求める声はなかったという。
一方、ここ1、2週間の間で、人民銀は珍しく、人民元相場に関する見解を頻繁に表明している。人民銀の胡暁煉・副総裁は3本の文章を相次いで発表。より柔軟な為替制度が必要との立場を表明し、柔軟な為替制度はインフレや資産バブルの抑制、および経済の構造調整、成長パターンの転換につながるとの認識を示した。さらには「相場など価格手段を適度に用いて貿易の不均衡や国際収支バランスを調整することで、外貨の流入や外貨準備の蓄積がもたらすリスクを和らげることができる」と率直に語っている。
ドイツ銀行の中国担当チーフエコノミスト、馬駿氏は人民銀の最近の動向について「為替制度の市場化改革のさらなる推進に向けた中国政府の決心と自信がうかがえる」と分析。為替制度改革の狙いについて(1)為替相場などの改革によって国際収支バランス、とりわけ経常収支バランスを保つ(2)為替相場政策の透明度が次第に高まることは、政策に対する認知度の向上につながり、企業が低コストで相場リスクを回避することができる。これにより、外貨市場における価格設定の合理化を促し、投機行為が為替市場にもたらす影響を抑制する―と2つの面から説明した。
名目実効為替レートの定期公表を試験的に実施するという胡副総裁の提案について、馬氏は「国際慣例に合致し、人民元対米ドル相場の安定こそが為替相場の安定とする誤った認識を改めることにもつながる。さらに人民元為替レートの形成メカニズムにおける通貨バスケットの働きが次第に強くなることを示している」と支持する立場を表明。通貨バスケット(つまり実効為替レート)を基礎にバランスと安定を保つという認識が人々の間に徐々に定着すれば、人民元対米ドル相場の双方向の変動も受け入れられやすくなる。人民元対米ドル相場の双方向の変動が大きくなれば、短期的ホットマネーの流入緩和や外貨のリスク回避手段の発展、中国国内の通貨政策の独立性向上を促すことができるという。
「人民網日本語版」2010年7月28日