日本野村資本市場研究所のシニアフェロー・関志雄氏はこのほど取材を受け、IMF(国際通貨基金)の提供したデータ図表を指しながら「世界経済に対する中国の貢献は、疑いの余地がない。今年、世界経済成長に対する中国の貢献は3分の1に達し、米国を大幅に上回るだろう。注目すべきは、これは金融危機の発生後に始まったことではなく、すでに10年間続いている事実だということだ」と述べた。
東京大学経済学博士の関氏は、中国経済問題の研究で知られる著名な経済学者だ。
関氏は金融危機における中国について、「昨年は、特に先進国の多くでマイナス成長が見られた一方で、中国など新興発展途上大国の経済は大幅な成長を見せ、世界経済の回復に向け大きく貢献した。世界的な金融危機の発生後、中国は迅速に危機に対応するための経済刺激策を打ち出し、その効果がはっきりと現れた。中国経済の急速な回復は、日本などの国家の輸出をけん引し、大きな作用を果たした。中国は今回の金融危機において、積極的な役割を発揮した」と述べる。
関氏は、「中国経済責任論」は「中国脅威論」を言い換えただけだとする。関氏は2005年に出版した書籍「做好中国自己的事(中国語)」の中で、すでに「中国脅威論」について反論した。
関氏によると、中国の責任をいかに見るかは、最も関心のある問題の一つだ。中国の責任に関して今、様々に言われているが、その裏には、中国が世界経済大国に発展することへの不快感やイデオロギーの問題があり、また、「中国方式」に対する西側諸国の恐怖心などもある。例えば、中国が自国の温室効果ガス排出削減目標を制定すると、一部の国が中国は「エネルギー消費大国だ」、「二酸化炭素排出大国だ」などと批判する。しかし、省エネ・排出削減の面で見ると、中国が果たした大きな進歩や模範としての役割のほうが大きいだろう。