▽日本はレアアースの利点を独り占め
あるアナリストによると、日本が中国のレアアース輸出制限にこれほど敏感なのは、実のところ理解できないことではない。日本はレアアースの約90%を中国から輸入し、中国の安価なレアアースの最大の受益者となっているからだ。
中国の業界関係者の指摘によると、日本は現在、世界でレアアースに最も高い付加価値を与える国で、ハイテク分野での利用がレアアース消費量全体の90%以上を占める。中国から安価なレアアース原料を買い入れ、ハイテク製品に加工して売りさばき、日本は相当の経済的利益を得ている。加工されたレアアースの価格は、黄金やダイヤモンドにも匹敵するほどだ。
周知のように、中国はレアアース資源が世界で最も豊富な国であり、埋蔵量は世界の約3分の1に達する。現在は生産量が世界の生産量全体の95%を占めている。1990年代に大規模な採掘・輸出がスタートすると、安価な採掘コスト(環境コストは考慮しない)を背景として、中国の低廉なレアアースが世界市場を席巻し、多くの国はレアアースの採掘を停止してしまった。
中国産レアアースは世界市場で約95%のシェアを達成したが、中国のレアアース関連企業はまだ一定の規模に達しておらず、統一的な監督管理システムも未整備で、無秩序な競争や密輸が盛んに行われている。このため中国は世界一のレアアース大国の地位にありながら、価格決定権をもてないでいた。1990年から2005年にかけて、輸出量は約10倍増加したが、平均輸出価格は半分に下がった。インターネット上で「中国の貴重なレアアースが土や白菜並みの値段で売られている」と嘆きの声があがるのももっともだ。
中国がレアアースを廉価で、無制限に売り出していた時、日本をはじめとする各国は機に乗じてレアアースを大量に買い込んだ。内蒙古自治区のある業界関係者の見積もりでは、日本が貯蔵するレアアース資源は今後40-50年分は優にあるという。これについてある中国メディアは次のような見方を示した。30年後には世界最大のレアアース産地である同自治区包頭市白雲鉱区の白雲鄂博は資源が枯渇する可能性があるが、中国から輸入するレアアースに頼って電子工業を発展させてきた日本はその時、十分なレアアース資源を貯蔵しており、生産国だった中国は現在よりも数百倍高い値段で海外からレアアースを輸入しなくてはならなくなる。
「人民網日本語版」2010年9月7日