▽多元化の効果
金融危機以降、中国は投資の多元化を追及してきた。中国が購入する債券は主に外貨準備として用いられる。米ドルやユーロに偏らず、アジア隣国の債券保有高を適度に増加する。この行動は、外貨準備資産のリスクを軽減するのに効果がある。
中国が円の保有高を拡大する理由は2つあるとアナリストは分析する。まず、ドルの持続的な値下がりに加え、欧州債務問題によりユーロの下落が懸念されることから、中国はアジア隣国の債券購入を拡大し、外貨準備資産のリスクを軽減せざるを得ない市場環境にあること。次に、中日貿易の拡大も中国が日本国債の購入を拡大する理由のひとつとなっている。多くの中日貿易で円による清算が行われている。これは中国が円で支払わなければならない日本からの輸入貿易が増えているということだ。
▽中国の国債購入、発行国に恩恵
日本経済は現在、極めて疲弊しており、すでに手を打った経済刺激策の効果は薄らいできている。政府は膨大な財政赤字に苛まれ、新しい方針を出すのが難しく、日本銀行が市場から購入する日本国債の規模拡大に頼るしかない状況となっていると市場アナリストらは推測する。
その一方で日本銀行の白川方明総裁は9日、市場から日本国債を買い増ししたくないとし、その理由として、投資家が日本銀行は財政支出に融資しようとしていると認識した場合、この行為が長期的に利率を引き上げ、経済活動の足を引っ張ることになるためだとした。このため、中国が日本国債を購入する行為はある意味で状況が思わしくない日本経済政策当局を手助けしているといえる。
金融危機の発生以降の中国の外貨準備投資は実際、米欧などの先進国を含め多くの国の自信につながった。中国が保有する米国債高は9000億ドルに迫り、7月には約4億ユーロのスペイン債券を国家外貨管理局が購入した。欧州債務危機の最初の波をやり過ごせたのは中国の外貨準備支援によるためだとアナリストは分析している。
「人民網日本語版」2010年9月13日