中国が世界最大の自動車市場になったのに伴い、中国の自動車産業も新たな発展の段階に入った。工業情報化部、国務院発展研究センター、中国自動車工業協会などによると、自動車産業の第12次5カ年計画(「十二・五」)は現在制定中であるが、中国の自動車産業は今後5年間で、これまでの「大規模化」から「実力強化」へと転換していくという。具体的には、新エネルギー自動車を含む省エネ自動車の発展を提唱する一方、企業の吸収合併・再編や立ち遅れた生産能力の淘汰によって構造的な生産能力の過剰を解決することを提唱する。
現在の計画草案によると、中国は2015年までに自動車産業と関連産業、都市交通インフラ、環境保護との調和のとれた発展を促進し、自動車製造大国から自動車強国へと転換する。2015年の自動車生産・販売台数は2500万台を見込んでいる。また、中国の自動車産業を「大きく強く」するための礎となるのは自主ブランド自動車である。そこで、2015年までに自主ブランド自動車のシェアをさらに拡大し、国内シェア50%以上を目指す(そのうち自主ブランドセダンの国内シェアは40%以上)。このほか、内需市場への依存から大規模な海外進出へと転換し、自主ブランド自動車の輸出が生産・販売台数全体の10%以上を占めるようにする。
この目標を実現するために、中国は自主開発を大いに支援し、自動車生産企業が研究開発能力と技術革新能力を向上させ、知的財産権を持つ製品を積極的に開発し、ブランド経営戦略を実施することを奨励する。そして、2015年までに世界に名を馳せる自動車ブランドを若干形成し、大手の自動車企業は世界先進レベルに近い自主製品開発能力を備え、中堅の自動車企業は主力製品の車体開発及び車台マッチング能力、エンジンなどの主要アセンブリと基幹部品の研究能力を備えることを目指す。
このほか、従来型燃料の省エネ環境保護自動車、純電気自動車を主とする新エネルギー自動車を大いに支援するとともに、ハイブリッド燃料、水素燃料などで走る自動車の研究開発を後押しする。具体的には、①2015年までに省エネ及び新エネルギー自動車の基幹部品の発展を大いに支援する。電機、電池などの核心部品の分野で、動力電池、電機などの基幹部品の中堅企業を3~5社形成し、産業集中度60%以上を目指す。②普通のハイブリッド車の産業化を実現し、中・重度のハイブリッド乗用車保有台数100万台以上を目指す。
中国自動車工程学会の于付武常務副理事長は、自動車産業が「大きく、強く」なることを奨励すると同時に、生産能力に構造的過剰の問題が存在することにも注意しなければならないと指摘。自動車産業の生産能力の過剰については、国家発展改革委員会産業協調局の陳斌局長も警告している。
計画草案には、市場主導を堅持し、力のある中堅企業が「強者連合」や経営が困難な企業又は立ち遅れた企業を吸収合併することで資源を集中させ、立ち遅れた生産能力の淘汰を加速し、産業集中度を高めることを奨励すると明確に打ち出されている。2015年までに、生産・販売台数300万台以上の大手自動車企業を2~3社、生産・販売台数150万台以上の自動車企業を4~5社の形成を目指す。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年10月18日