「十二・五(第12次5カ年計画)」の電力業の計画で、水力発電、原子力発電、風力発電、太陽光発電などのクリーンエネルギーに対し大規模な投資を行い、火力発電の割合を70%以下に減らし、クリーンエネルギーを30%以上にすることが強調される見通し。クリーンエネルギーの中で、風力発電設備はここ数年、市場が急速に拡大しているが競争が激しく、太陽光発電市場は競争がさらに激しい状態だ。一方、原子力発電は敷居が高く、巨大な市場余地があり、もっとも潜在力のある投資分野になる見通し。
中国電力工程顧問集団の汪建平社長によると、中国は16の省・市に原子力発電所の建設地を51カ所選定し、244基のユニットを取り付ける計画で、設備容量は2億7000万メガワットになる。うち沿海部は1億5000万キロワット、内陸部は1億2000万キロワット。現在の建設状況を見ると、設備容量は2015年に4000万キロワットに、2020年に7000万キロワットに達し、「十二・五」期間中に3000万キロワットが着工する見通し。
「十二・五」の最後の年までに、原子力発電ユニットは現在の1000万キロワット以下の3倍に増加することになる。また2010年6月末現在、中国の建設中の原子力発電ユニットは23基、設備容量は2540万キロワットで世界の40%を占め、建設中の原子力発電所は世界最大規模となっている。
市場余地も非常に大きい。中銀国際は8日に発表した報告の中で、中国は「十二・五」期間中に原子力発電所の建設ピークを迎え、その後に比較的安定し、毎年6-8基のユニットを建設し、設備容量は約800万キロワットになると予想している。原子力発電所の建設費を1キロワット当たり1万5000元、設備費をプロジェクトの総投資額の60%として計算すると、年間の設備投資は720億元に達し、関連企業に巨大な市場余地が作り出される。
また機関の予測によると、新しいエネルギー産業振興計画が近く出される可能性が高く、2020年の中国の原子力発電の発展目標は8600万キロワットに設定され、予想を上回ると考えられる。したがって、設備容量も8倍近く増加し、成長が最も速い新エネルギーとなる見通し。
中国の原子力発電設備製造業は主に大型の国有企業が独占している。これは原子力発電設備の技術が高いためである。中国の原子炉は東方電気、上海電気、哈爾濱電站設備集団、一重集団の4社が主に製造している。タービン建屋においては東方電気、上海電気、哈爾濱電站設備集団が国内市場を独占し、うち東方電気は50%の市場シェアを握る。補助設備においては、技術力に優れた機械製造企業が市場を独占する。
東方電気の原子力発電設備の受注額は4000億元を超え、2009年の売上高は21億3000万元に達し、2010年と11年はそれぞれ44億元と83億元になると見込まれている。2010年上半期、設備の部品の国産化に伴い、原子炉の粗利益率は17%に達した。上海電気の受注額は357億元、うちタービン建屋は169億元、原子炉は188億元で、2010年上半期の原子炉の粗利益率は16%に達している。
しかし、原子力発電の発展は制約と困難にも直面する。華能集団の曹培蛮社長は、中国の原子力発電の開発体制、資金面の保障、発展速度は電力の発展を規制する要求にまだまだ応じきれていないと見ている。原子力発電所の建設への出資を適度に緩和し、条件を満たす発電企業が開拓の主体となり、発電企業が選定した原子力発電所の建設地を国の建設計画に盛り込むべきだとしている。
ところが、ウラン資源争いが重要な戦略的問題となることに注意しなければならない。汪建平氏は、2020年に原子力発電に必要な天然ウランは1日約1.1万トン(設備容量7000万キロワット)となり、核燃料は国内外の2種類の資源を利用し確保しなければならないため、国外とウラン資源の探査・開発の協力を強化し、国外の資源を最大限に利用すべきとの見方を示している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年10月14日