経済成長ペースは鈍化するが、1けた下がることはあり得ないと考えられる。その理由として(1)30年にわたる計画出産政策(一人っ子政策)が労働力の伸びを鈍化させる見込みだが、農村労働力が引き続き移転して、非農業分野が成長を続けるとみられること(2)中国の資本の蓄積はまだ初期段階にあるが、蓄積のペース(投資)はこれから鈍化するとみられること(3)中国の生産率にはなお発展の余地があるが、そのためにはより困難な一連の改革が必要であること、などが挙げられる。
今後10年間のグローバル経済成長に対する中国の平均貢献率は、過去10年間の12%から30%に上昇するとみられる。大口商品とエネルギーのほかに、中国の増加を続ける消費ニーズも、世界に重大な影響を与えるものと予想される。中期的には固定資産投資が鈍化するため、基礎的重工業と電力産業の成長ペースも鈍化する見込みだ。中国製造業の産業グレードアップとの関連、人々の豊かさへの満足レベルの継続的上昇、人口の不断の高齢化に必要とされる産業が、今後より順調になることが予想される。
中期的にはインフレ率が3-5%に上昇する見込みで、原因の一部として、土地、エネルギー、資源価格の調整が避けられないこと、余剰労働力が徐々に減少することなどが挙げられる。
経済成長が直面する主なリスクは、外部ニーズの減少と貿易相手国との関係の悪化だ。また緩和されすぎた通貨貸出政策や構造改革の遅れにより、経済に大きな浮き沈みが出現する可能性がある。特に後者は、金融システムの健全化と社会の安定にとって大きなマイナス影響をもたらす可能性がある。(筆者は瑞銀証券(中国)の汪濤チーフエコノミスト)
「人民網日本語版」2010年11月3日