中国人民銀行(中央銀行)通貨政策委員会の李稲葵委員(清華大学教授)は先月29日、清華大学で開かれたBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)とG20(20カ国・地域)に関するシンポジウムで、中国経済が許容可能な人民元の上昇幅は年間3-5%で、この数字を超えれば中国経済は大きな損害を被ることになる、と指摘。欧米各国は人民元相場の切り上げを求めて引き続き中国に圧力をかける、との見方を示した。中国紙、経済日報のウェブサイト「中国経済網」が伝えた。
李委員は「これまでの経験から、年間3-5%の上昇は許容範囲だ」とした一方、人民元相場の調整幅と調整速度は中国国内の経済需要によって決まるのであって、欧米各国からの外的圧力に左右されない、と指摘。「人民元相場の調整は政府の管理のもとでゆるやかに進める必要がある。そうでなければ、輸出企業の倒産を招く恐れがある」との考えを示した。
先月29日現在、人民元の対米ドル相場は1ドル=6.6908元に跳ね上がっており、6月中旬に人民元相場が調整されて以降、人民元対米ドル相場の上昇幅は2.1%に達している。
シンポジウムに出席した清華大学経済管理学部の袁鋼明教授は「人民元相場の調整幅は予測を上回るとみられる」としながらも、年間の累計上昇幅は5%を超えることはない、との見通しを示した。
人民元上昇を求める声がここ数年、高まっている。閉幕したばかりのG20財務相・中央銀行総裁会議では通貨戦争の回避で合意したが、まもなく開かれるG20首脳会合でも引き続き為替相場をめぐる問題が焦点になるとみられる。
「人民網日本語版」2010年11月4日