「臨界点」の1200キロ
中国航空工業集団の関係者は、こう指摘する。高速鉄道は「800キロ以内の航路に与えるダメージと代替効果が強く」、800キロから1200キロまでの中距離航路、特に北京・上海、上海・広州の旅客流動量の多い航路においては、高速鉄道と航空路線の「激戦状態」が見られる。しかし、1500キロ以上の航路においては、「鉄道が航空路線に与えるダメージと代替効果は弱くなる。」
ある英国国際航路の高速鉄道開通後における増便統計報告によれば、1998年から2007にかけての十年間で、ライバルとなる高速鉄道が存在する国際航路では、航空旅客輸送量が全てマイナス成長となっており、中でも2005年と2006年の下落幅は4.7%に達している。しかし、高速鉄道が存在しない国際航路では、その継続的な成長を保っているという。
業界の専門家も、次のように指摘する。今後、人の交通需要は大きく増加し、珠江デルタや長江デルタ地域、そして环渤海圏(京津冀地区)においては高密度、高速の利便性を持つ鉄道輸送への依存が大きくなるだろう。高速鉄道は京津、武広、成渝、滬杭、滬宁等の平均100~400kmまでの近距離都市を一体化させることができるが、この点において飛行機は全く高速鉄道に及ばない。
ブラジル航空工業会社の大中華区総裁の関東元氏は、こう語る。高速鉄道は地上の大規模輸送形態に属し、主に東部の経済が発達した人口密集地に集中している。一方、中国の中西部地域は、その広大さから航空輸送のほうがより適している。そのため、「今後、高速鉄道が航空業界に与える衝撃は、主に中国東南部の主要路線市場に集中するだろう。しかしローカル航路市場には、まだ非常に大きな発展空間が存在している。」
「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年11月23日