瑞銀証券(中国)とユーロネクストも同じような見方を示す。瑞銀の予測によると、中国の11月の消費者物価指数の前年同月比上昇幅は約5%で、中央銀行は年内にもう一度金利を引き上げ、来年は2回から3回の引き上げを行うという。
ユーロネクストアジア部門の大久保卓治チーフエコノミストによると、中国の金融危機後の力強い経済成長は2つの要因によっている。一つは国がうち出した経済刺激政策であり、もう一つは相対的に緩やかな通貨政策だ。だが現在の中国は緩やかな通貨政策のために代償を支払っているところだ。
大久保氏によると、2008年末時点の中国の通貨供給量は30%と急速に増加し、広義マネーサプライ(M2)は消費者物価指数(CPI)や国内総生産(GDP)の伸びを大きく上回った。中国の経済成長を支援するために、こうした通貨政策はぜひとも必要なものだったが、現在はそのマイナス面の影響が表れ始めている。
大久保氏によると、最近、中国の通貨当局がうち出した流動性抑制政策の意図は非常に明らかで、中国人民銀行(中央銀行)は行き過ぎたインフレを絶対に容認することはない。人民銀が現在直面している2つの難問は、インフレが引き続き高止まりしていることと、経済の停滞を招いていることだ。2011年の中国のインフレ水準は現在の水準を引き続き維持するとみられる。
以上のようなインフレへの懸念に基づき、大久保氏は人民銀がさらに金利を引き上げると予想し、引き上げ幅は今年の年末は25ベーシスポイント、来年一年間は75ベーシスポイントになるとの見方を示す。JPモルガン・チェースの予測では、人民銀は年内と来年はじめに預金準備率を2回引き上げ、金利を3回引き上げ、人民元はさらに上昇することになるという。
「人民網日本語版」2010年11月25日