人民元対米ドルレートの中間値は13日、6.60の大台を突破し、再び最高値を更新した。これと同日、中国人民銀行(中央銀行)は、「境外直接投資人民元建て決済試行管理弁法」を公布、試行地域内の企業による人民元を使った海外直接投資を認可した。国際金融報が伝えた。
同管理弁法の規定によると、人民元を使った海外直接投資の範囲は、海外での企業設立、合併・買収、資本参加、又はこれらの方法を通じてプロジェクトの権益の一部(全て)を取得することなど。対象企業は、越境貿易における人民元建て決済の試行地区内で登録されている非金融企業となっている。
同弁法によると、対象企業は海外直接投資により得た利益を人民元建てで国内に振り込むことができるようになる。また、銀行は対象企業が海外で投資する企業もしくはプロジェクトに対し、人民元建てで融資を提供できるようになる。このほか、海外投資先企業の増資、減資、株式書換、清算などに伴う人民元収支については、対象企業は海外直接投資の主管部門による認可書類を銀行に提示することで、直接人民元の送金・振込み手続きができるようになる。
上海財経大学現代金融研究センターの奚君羊副主任は同弁法について、「『管理弁法』が打ち出されたことは、国内の対象企業にとって大きなプラスとなった。取引のコストを節約できるだけでなく、為替レートのリスクを避けることができる。国内の人民元を流出させ、海外市場で流通させることができれば、国内のインフレ圧力の緩和にも役立つ。しかし、この管理弁法でもっと大きな意義を持つのは、国が元国際化の推進に向けて決心を固めたことだ」と述べる。
同氏によると、「温州市個人境外直接投資試点案」から上海での適格海外投資事業有限責任組合(QFLP)制度の試行、そしてこのほど発表された「管理弁法」にいたるまでの一連の措置は、中国の資本項目が明らかに柔軟になりつつあることを表明しているという。