寧夏回族自治区一帯はかつてはシルクロードとして繁栄した時期もあったわけで、日本の一部学者、プランナーの説では、航空輸送の発達、インター・ネットの発達、物流システムの発展、高速鉄道など輸送手段の発展で、これまでの視点がくつがえされる可能性がある時代に入りつつあるのだ。
日本のNC工作機械メーカーが寧夏に進出しているケースを見ても、寧夏にはわれわれ一般の人間は気づかぬ魅力があるのだ。日本の一橋大学の地域経済学の専門家が寧夏回族自治区について著書を発表しているが、私は寧夏にとってポイントはみずからの強みを生かすことだと考えている。
私はプランナーではないので、地域全体の発展について私見を述べるつもりはないが、最近、メディアで寧夏の3人の若者が「北京漂流組」となって、北京のアニメ制作会社に就職して何年か頑張り、自分たちがこれ以上北京にしがみついていても所詮、アルバイトに毛が生えたくらいな存在でしかないので、いっそのこと郷里の寧夏にUターンしてそこで一旗上げようと思い、銀川市にアニメの学校をつくった。しかし、最初の半年は応募者がゼロだったが、それでも初志を貫いて頑張り、あちこちの学校で出前の講座を開設し、やっと何十人かの理解者が現れるようになった。そこで、寧夏の区都銀川市でアニメ展を開催することを企画したが、北京、上海、杭州なら人集めも簡単だが、内陸部でいったいそんなことができるのか、と二の足を踏む人の方が多かった。この3人の若者はいろいろ手を打って根回しをし、また、地元の責任者のバックアップを得て開催にこぎつけた。さらには、3人の若者のうちの1人、孫立偉さんのアニメ作品が杭州でのコンクールでグランプリ取得という幸運も重なり、とうとう地元の開発区に進出することになった。
孫立偉さんが語っているように、寧夏ではごく少数の人しか世界のアニメの動向を知らないゼロの状態からここまで来るのはたいへんだったらしい。