国内外での大きな価格差に疑問の声も
業界関係者は、中国人の出国者数の増加と消費力の向上に伴い、中国人の海外ショッピング熱も一層の盛り上がりをみせるとみる。
消費力の流出は、高い関税により消費財の輸入が振るわないなど、多くの問題がなおも存在していることを確かに物語っている。山東省社会科学院財政金融研究所の袁紅英所長は、高い関税は国内産業の成長を保護することが可能だが、輸入の成長をある程度抑制することになり、安く質の良い海外商品の輸入や貿易バランスにとっては不利に働く、と指摘する。
ハイエンド消費財の価格に国内外市場で開きがあるだけでなく、輸出後の価格が国内価格をはるかに下回っている国内商品もある。このため、日本でマオタイ酒を買い、韓国で中国の高級たばこ「中華」を買うといった現象が起きている。この原因について、国際市場を開拓するためと説明するメーカーもある。
袁氏は、低価格販売は輸出にある程度有利に働く一方、低品質のレッテルが商品に貼られてしまう恐れがあると指摘。やみくもな輸出枠の拡大は、内需拡大、輸出依存度の低下など中国政府が進める経済発展パターンの転換とも合致しない、との見方を示す。