最近、中国経済の実質成長率が明らかに計画を上回っている。重要な要因として地方政府の奉じるGDP神話が上げられる。大規模工事がしばしば行われ、エネルギー消費量の大きい産業がたびたび動き出す。十二五の成長ペース目標を適切に引き下げれば、経済成長の水増し分をあぶり出すのに効果的だ。
最近、中国の経済運営には一連の注意を要する新たな特徴がみられるようになった。資源の制約が厳しくなっていること、労働力が不足していること、インフレ観測が高まっていることなどだ。避けられない問題は、一人当たり平均GDPが4千ドルを超えた後、中国経済の潜在的な成長率が鈍化するのではないかということだ。
中国経済が「中レベル所得の陥穽」に陥る可能性は小さいだが、今後は高い経済成長ペースをひたすら追求するべきではない。全体的なニーズの角度からみると、十二五計画では、中国の貿易収支が基本的にバランスすることがうち出されており、これは輸出による成長への貢献が低下する可能性があることを示している。供給の角度からみると、今後数年間、中国の毎年の労働力供給量の新規増加分はゼロに低下する可能性があり、長期的に経済成長を支えてきた人口のメリットが徐々に減少するとみられる。こうした要因はいずれも経済成長の潜在力を引き下げる可能性があるものだ。