「十二五」時期の行方を決定付ける今回の「両大会」
英フィナンシャル・タイムズ紙は「両会の開幕を前に実施したインターネット上での国民対話で、中国の温家宝総理が『十二五』期間における経済の成長率目標を7%に下方修正し、国民生活にかかわる問題の解決に全力を注ぐ姿勢を示した。その後すぐに国務院(政府)で低中所得者層に配慮した個人所得税の改正案が採択された」と伝えた。
これら措置はまもなく迎える「十二五」時期を占うものといっていい。30年の急成長により、中国は歩調を少し緩めて調整を図り、経済成長で生まれた富をより多くの国民に還元できる充分な経済力と余裕を手に入れた。中国の与党の基盤は急速な経済成長だけでなく、公平で尊厳のある暮らしを国民にもたらしていることにもあるのだ。
同紙は、2004年の米大統領選で民主党候補が唱えた「2つの米国」、転換期にあるインド人が議論している「2つのインド」という概念を取り上げ、「『2つの中国』も存在する」と論説を展開。「1つはGDPが日本を抜いた経済大国としての中国。もう1つは所得格差が拡大し、社会矛盾を併せ持った中国だ。この2つの中国は並存するもので、どちらがより真実かというものではない。いま必要なことは、この2つの距離を縮め、国民の期待および国際社会の評価とつり合いを取ることだ」と中国が抱える課題を分析。その上で「毎年の両会は、この距離を縮めるきっかけにほかならない」と両会を読み解いた。
このほか、NHK、韓国「朝鮮日報」、英BBCなども「両会」に関心を示し、その動向を報じている。
「人民網日本語版」2011年3月7日