(3)米国の長期的な財政赤字、貿易赤字、および最近相次いで実施されている量的緩和政策をみても分かるように、ドル相場は日増しに悪化している。このため、外貨準備として多くのドルを保有する中国は大きな為替損失を被ることになった。こうしたリスクを回避するため、金やユーロ、カナダドル、オーストラリアドルなど資源国家の通貨の保有割合を増やすなど、安全分散の原則に基づき外貨準備を管理することが求められる。また海外展開戦略の実施において、資源、鉱物企業に対し株式投資を行うこと必要がある。莫大な外貨準備を活かしてエネルギー、鉱物の国際価格の決定にかかる発言権を獲得し、国の持続的な発展につなげる。
(4)外貨準備を国家監査署の監査範囲に組み入れ、詳細な監査状況を人民代表大会常務委員会に毎年報告することにより、国民に向けて情報開示し透明性を高める。
現在進められている人民元の国際化戦略については、▽十分なリスク評価を行った上で人民元の国際化の程度を判断し、それに基づき段階的な計画を制定して着実に進める▽為替相場を合理的な設定し、市場の供給と政府による適度な関与を結び付ける▽人民元の国際化の規模を確定し、段階的に拡大を進める--ことが求められる。
劉氏は人民元の国際化について「最終的には人民元の自由兌換と関連付ける必要があるため、人民元がハード・カレンシー(自由交換可能通貨)になることによるリスクも十分に考慮する必要がある」と注意を呼びかける。「ドル安が継続しているといっても、ドルは米だけが発行できるものにもかかわらず、世界中に流通しているという優位性を持つ。この優位性を人民元は備えていない。このため、人民元の国際化の程度を分析するリスク評価が非常に重要で、やみくもに先を急いではならない」
「人民網日本語版」2011年3月8日