欧州連合(EU)は3月8日、来年から航空部門(EUの空港で離陸、着陸するすべての航空便を含む)を現行のEUの排出量取引制度(ETS)の対象に含めることを可決した。これにより、中国の民間航空業の来年のコストは8億元増加することになる。中国航空運輸協会はこのほど、EUに「厳正な声明」を出し、反対の意を表明した。
EUは来年1月1日から航空部門の排出量取引制度を実施し、2012年の排出量を2.12億トン以下、2013年の排出量を2.08億トン以下に抑える方針だ。この制度に参加する航空会社は4000社。
EUの規定によると、EUの上空を経由する航空会社は82%の排出量が無料で、15%はオークションを通じて獲得しなければならない。残りの3%は急成長中及び新規参入の航空会社に割り当てられる。中国民間航空総局の暫定推計によると、国内のすべての航空会社がETSの対象に含められた場合、2012年だけで8億元のコストがかかる。中国国際航空会社は、EUでシェアの最も大きい中国企業である。
ETSが実施されれば、ブリュッセルからニューヨークまでのエコノミークラスの航空券は12ユーロ値上がりし、中国からEU諸国までの航空券は約200元値上がりする。
情報筋によると、中国の大部分の航空会社がETSの対象となる。中国国際航空、東方航空、南方航空、海南航空などの航空各社の要請を受け、中国航空業協会はこのほど、EUに「厳正な声明」を出し、「国際航空運輸業をETSの対象に含めることは、国際法の基本的な原則に違反する」と反対の意を示した。
中国航空業協会は次のように主張する。世界航空業の排出問題は、EUの一方的で、貿易の対抗と利益を優先するやり方でなく、各国政府及び業界の関係企業が協議し、共同で解決すべきだ。EUが反対を省みずにETSを強引に実施するようなことがあれば、中国航空業協会は、中国の航空運輸業の国際航空市場での発展の権利を守るため、中国政府に対抗措置を講じるよう促していく。
業界関係者によると、ボーイング、中国石油と中国国際航空は、ETS及び航空燃料油の価格上昇に対応するため、来年5月下旬から6月上旬にかけて穀物以外のものを原料とするバイオ燃料のテストを実施する。ところが同関係者は、「テストにすぎず、現実問題の解決にすぐには役立たない」と話す。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年3月23日