林国本
チャイナネットでよく山東省各地の新たな発展の動きを知る機会に恵まれているが、最近、日本の朝日新聞で中国は山東省の蓬莱市と遼東半島の旅順との間に、島づたいに百キロ以上にのぼる海底自動車道路、海底鉄道を建設することを考えている、という小さな記事を目にした。日頃、諸事多忙で、出版社の校閲の仕事も手伝っているので、山東省や大連、旅順の新聞の記事に目を通すヒマもないので、この朝日新聞の小さな記事から山東省の将来像についていろいろ考えてみたが、山東省はある意味では非常に自然環境に恵まれた地域だと言える。
私は何度も公用で山東省に出かけたことがあるが、この地域ほど自然環境、地理的環境に恵まれたところはないのではないかと感じていた。
東端には青島というアジアでも有数の良港があるし、山東半島の北、東、南部にも良港がいくつもある。今年の中国人民政治協商会議でも、海洋をテーマとした山東半島経済の発展を構想する案が委員から出されたことがメディアで報じられたが、これは山東半島のもつ優位性を最大限に生かすアイディアであると思う。このところ、環渤海経済圏がどんどんその形を顕在化させつつあるが、この経済圏の北側は中国東北部という産業の発達した地域で、どんどん発展をとげつつあり、その経済圏の南側にある山東半島もこの大発展の追い風を存分に生かして、みずからのさらなる近代化を目指す時期に来ているのではないだろうか。
先般、浙江省の杭州湾にかかる大鉄橋の高速を利用する機会に恵まれたが、この高速と鉄橋の完成によって、寧波とかその他の市に向かう距離が最大限短縮された。山東省の場合も、もし、上述の海底道路が完成すれば、遼東半島あるいは中国東北部から山東省への距離が最大限短縮され、これまでのようなフェリーによる往来や、遠回りの鉄道輸送が不要となり、大きな経済効果が望まれることになる。なにしろ、クルマで数十分で行けるようになるからだ。