このプロセスは各国それぞれ非常に似通っている。復興時代には生産率の急上昇によって繁栄と発展がもたらされるが、そのような時代は永遠に続くわけではない。農民が産業労働者になり、海外から導入した新技術によって生産効率は向上する。しかし万策が尽きると、新しい成長方法を模索しなければならないというのだ。
3人の経済学者はこのほか、別の概念も提起している。
一国のGDPが最も発達した国(米国を指す)のGDPの57%を上回ると、その国は「技術の境界」を徘徊するようになるというのだ。現在の状況でいうと、中国がこの2つの基準に到達するまでにはまだ時間がかかる。特に中国のGDPは米国の約19.7%(07年)にすぎない。
とはいえ、もし中国がこのまま「10%成長」を続けた場合、一人当たりのGDPは2014年には1万6740ドルの境界にさしかかる。つまり、あと3年で中国は危険区域に入るということだ。
アイケングリーン教授は「中国の経済成長ペースはもうすぐ緩やかになる」と予測する。中国は多くの弱点を抱えており、他の国よりもこうしたハードルを乗り越えるのが難しくなるという。