中日韓のFTA締結には多くのメリットがあると分かっていても、前向きな慎重論が一般的だ。経済の発展水準や構造における違いが、3カ国のFTA交渉を難航させることは必至だ。
では具体的にどうした要素がFTA締結の障害となるのだろうか。首都経済貿易大学の隋峰燕博士は、経済発展水準の違いが重要な要因の一つと指摘。
中国は発展途上国、日本は先進国、韓国は新興工業国と、3カ国はそれぞれ異なった発展水準にある。発展水準の格差が大きい国同士の貿易自由化は、関係国の産業に大きな打撃をもたらす。経済構造の格差が大きいほど、経済構造の調整がより必要となり、異なる社会集団の利益に及ぼす影響もより深く、FTAに対する社会の警戒感や風当たりも一層強くなる。
清華大学・現代国際関係研究院の劉江永教授は、FTAが発足されたとしても、一定の過渡期を設ける必要があり、一足飛びに完成というわけにはいかない。10-20年の時間を掛けてこそ、低関税、サービス業、人の自由流動、知的財産権などを含めた高度なFTAを締結することができる。
復旦大学・経済学院の孫立堅副学院長は、FTA推進には困難が伴うと指摘。中国が日本・韓国の企業にゼロ関税を実施した場合、中国の企業が競争に打ち勝ち強大になるか、競争に敗れ淘汰されるか、現時点では慎重な見極めが必要とし、巨大な市場である中国は、FTA推進に意欲的な日本・韓国と比べると、保守的な態度を取っており、中国企業への打撃が少ない段階的な開放を望んでいる、と説明した。
「人民網日本語版」2011年5月25日