中国の全国日本経済学会、中国社会科学院日本研究所、社会科学文献出版社の共催による2011年『日本経済白書』の記者会見が5月31日、北京で行われた。ポスト危機時代の日本経済、中日経済貿易関係の状況、現存する問題と試練などについて分析、討論し、『日本経済と中日経済貿易関係発展報告(2011)』が発表された。
『日本経済白書』によると、3.11大地震とそれに伴う津波、放射能漏れ事故の「複合型災害」には、需給の面から見て、日本経済および世界経済の回復を妨げる要素とけん引する要素が併存する。今回の災害は日本経済に非常に大きな影響を及ぼしたが、その程度は限られている。しかし、個別産業や分野が深刻な影響を受ける可能性も捨てきれない。
短期的に見て、東北地方の鉄道や道路などの社会インフラとエネルギー施設、生産工場などはひどく破損し、物流をすぐに完全に回復させるのは難しい。また、電力の供給不足は同地域の正常な生産と生活秩序を乱し、自動車部品、半導体素子、チップ、液晶機器などの生産の回復には時間がかかるため、産業チェーンが一時的に断裂することも避けられず、それにより日本国内、さらには国外の関連企業の生産に影響が及ぶことになる。中長期的な視点で見れば、エネルギー、水産物、農産物の不足や財政難などは日本の景気回復と成長を制約すると考えられる。
災害は経済に大打撃を与えたが、震災復興によって巨大な需要が生まれ、このような需要は経済成長をけん引する。さらに、震災復興という特殊な状況下で、公共投資の乗数効果は大きく、経済成長の押し上げ効果はいっそう高まる。2011年の日本の経済成長は「前低後高」型になると見られ、通年および一定期間は高い成長率となる可能性もある。
放射能漏れが収まれば、今回の災害の世界経済への影響は限られ、日本の隣国で最大の貿易相手国である中国の経済、特に中日経済貿易関係への影響も限られる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年5月31日