投資対象産業がグレードアップ
アメリカは投資対象産業をシフトし続けてきた。第二次世界大戦後、アメリカ企業は主に鉱業と石油業を中心に投資し、その後、製造業への投資へとシフト。1990年代以降、サービス業が急速な発展をみせると、サービス業が製造業に取って代わり、対外直接投資の最大の産業となった。2002年までに、サービス業への投資額は累計で約1兆5000億ドル、対外直接投資全体の61.3%を占めた。このことから分かるように、国内の産業がグレードアップするにつれ、投資対象の産業はシフトするのである。
中国の年間対外直接投資額は世界5位であるが、投資対象産業はまだ初期段階にある。ある統計によると、中国が2008年に行った対外直接投資において、エネルギー・鉱業への投資が投資全体の90%以上を占めた。これは中国の産業のグレードアップがまだ遅れていることを示している。中国の工業化が成熟し、産業のグレードアップが進めば、資源・エネルギー分野への投資比率は縮小し、第3次産業への投資が増加するに違いない。そうなれば、中国のサービス業(文化・映画産業、金融サービス業など)も対外直接投資の方法で海外進出を果たすことができる。