米商務省のゲーリー・ロック長官はこのほど、米国の輸出管理制限の新たな政策である「戦略的貿易の許可の例外規定」を発表した。新規定では引き続き、貿易の利便化措置を適用する44の国と地域から中国を排除している。これについて商務部の姚堅報道官は、米国が依然として中国に対してこのような差別的なやり方を続けていることは、中米の相互に尊重しあう相互利益の協力パートナー関係構築という位置づけに合致せず、中国側は深い失望を感じていると述べた。「人民日報」海外版が伝えた。
▽米国は中国に市場を奪われることを懸念
中国は米国にとって3番目の貿易輸出先であり、ある資料によれば、中国はすでに9年連続で米国の最も急速に成長する輸出市場となっている。昨年、米国の輸出額は前年比2%の増加にとどまったが、対中輸出額は同50%増加した。予測によれば、2011年に中米貿易総額は4500億ドルに増加する。ある業界関係者によれば、中米双方が相互利益の協力パートナー関係を一層強化することは、両国と両国民の利益になることだという。
米国はなぜ対中輸出管制をゆるめないのだろうか。商務部研究院の白明研究員の説明によると、実際、米国は一貫して対中輸出に制限を設けてきた。かつては、米国国内に冷戦思考が存在し、中国がハイテク技術を掌握すれば軍事転用するというのが主な理由だった。今では、米国は中国が先端の技術を掌握して、米国の産業界と競争するようになることを懸念しており、商業的要因への配慮がより大きなものになっている。米国では次のような見方がなされる。中国は今、経済のモデル転換に力を入れている。もともと産業の集積という優位点がある上に、米国由来の技術がさらに加われば、非常に強大な競争力を備えることになり、競争力ある商品をより多く米国に送り込むようになる可能性がある、という見方だ。
中国社会科学院(社会科学アカデミー)国際経済・政治研究所世界貿易研究室の宋泓主任によると、輸出管制の問題は米国の歴史の中で根深い問題であり、短期間で中国への管制をゆるめることは難しい。輸入できないなら、自ら生み出すことを大いに奨励すればよい。中国は自主イノベーション開発、知的財産権の保護などの面で米国としのぎを削れるという。